ひとくち伝言 平成23年7月

 「ここが復興したときに、もっぺん見にきてくださいね」
 私の父が、阪神淡路大震災の際にボランティアに行かせてもらい、そこで避難されていた方からかけられた言葉です(ひとくち伝言 平成七年三月号)。その後、父はちゃんと見に行けたんだろか。大阪はともかく、兵庫まではなかなか行けなかったんじゃないかな。今回、一体どういうご縁なのか、たまたま淡路に用事が出来まして、父がお手伝いをさせていただいた神戸、そして淡路と、復興された街並みを辿ってまいりました。まるで、お前が代わりに見て来い、約束を果たして来いと言われたような心持ちです。

 あれから十六年。特に被害が大きかった神戸の海沿いの地域には、現在、たくさんのビルやマンションが立ち並んでおります。本当にここが、ニュースや新聞で見た、あのどうしようもないくらいに絶望的な瓦礫の町だったの?と聞きたくなるほどの復興を遂げておりました。崩壊した鉄道や高速道路はとうに元通りになり、街も活気に溢れております。ほんのわずかな時間であれだけの破壊を生み、多くの命を奪う地震の力というのは本当に恐ろしいものでありますが、絶望に負けることなく、辛抱強く粘り強く、それを復興させた人間の力というのも、まことに物凄い。

 この度の東日本大震災においても、被災地へ行く度に「あ、ここ道がきれいになったな」「お、あそこの店再開してる!」といった具合に、復興に向けて、小さくとも確かな一歩一歩が踏み出されているのが分かり、かえって元気づけられるのです。そして、やっぱりいろんな方が「復興したら、また来てくださいね」って声をかけてくださる。「今はね、こんな瓦礫だらけだけども…、本当はもっと綺麗で、魚もうまいし米も酒もうまい、いいところなんですよ」って。ええ、そりゃもう、絶対行きますとも。これは自分自身で確かめねば。瓦礫の山から立派に復興した神戸や淡路を見れば、岩手や宮城、それから福島だって、時間はもうちょっとかかってしまうかもしれないけれども、きっと大丈夫だと思えてきます。

 十六年前に父がひとくち伝言で「この被災地の営みのなかから、いままでにはなかった新しい日本が生まれつつある」という予感を書きました。あの震災以降、民間や個人のボランティアがとても盛んになり、今はボランティアの役割も、より重要になっております。新しい助け合いの形が出来上がりました。きっと、今日本が直面しているこの困難の中からも、新しい日本が生まれることと信じております。



                                                  (榮雅)



ひとくち伝言板

7月3日 (日) 午前9時より  写経の会
 7月9日頃〜15日頃    お盆棚経期間
7月17日 (日) 午後1時より  盂蘭盆大施餓鬼会(塔婆供養)
          お塔婆は前もってお電話かFAX、eメールにて
          お申し込みください。1本3,000円です。

7月31日 (日) 午後6時より  献灯会

8月17日 (水) 午後1時より  月例法要

9月4日 (日) 午前9時より  写経の会
9月17日 (土) 午後1時より  秋彼岸大施餓鬼会(塔婆供養)

9月22日     午前7時より
   〜24日   午後1時まで 第二回 百年祭写経会

◇お盆の棚経は、ご自宅へお伺いし、ご先祖様方のためにお経を上げさせて頂く法事でございます。ご希望される方は、日程の調整をいたしますので、お早めにご連絡ください。また、寺へお越しいただいてお盆のご供養をなさる方もいらっしゃいます。
どうぞご相談くださいませ。

◇今年の献灯会は7月31日でございます(詳しくは別紙参照)。例年、ユニセフ協会への募金事業として開催して参りましたが、今年はお灯明の収益を東日本大震災の義援金にも寄付させていただこうと存じます。ご自身の祈りのため、世界中の恵まれない子どもたちのため、そして震災で犠牲となられた方々のご冥福を祈り、お灯明をともしていただきたく存じます。
当日はいらっしゃれない方も、ご希望でしたら代わりにお灯明をお供えいたします。


百年祭情報
・献灯会が終わりましたら、いよいよ11月17日〜19日の百年祭に向けて、現在古い庫裏が建っている場所を、百周年記念会館の予定地として整地いたします。なお、着工は百周年記念法要後となります。

・秋分の日の前後、22日〜24日は、聖観音立像(記念法要にてお披露目、会館の落慶式に開眼予定)の胎内にお納めする御写経のために、広間を開放いたします。
開放時間内のお好きな時間に、お気軽にお越しくださいませ。