ひとくち伝言 平成25年5月

 様々な教えを説かれたお釈迦様が、実は美容の秘訣まで説かれていたとしたら、ちょっと意外にお思いでしょうか。しかし、約二千五百年ほどの昔も、やはり世の女性はいつまでも美しくありたい、美(び)貌(ぼう)を維持したいと悩んだのでありましょう。人間の苦しみについて、そして苦しみの克服について徹底的に追求されたお釈迦様が、まさかそこを見逃すはずがありません。では、果たしてその秘訣とは? 法(ほっ)句(く)経(きょう)(ダンマパダ)という経典にはこう説かれています。「容(よう)色(しょく)のけがれは懈(け)怠(たい)より来たる」。つまり、容姿や美貌の衰えは、日々のお手入れをサボる怠け心によって引き起こされるのだと。…非常にシンプルな教えであります。しかしそれは家の修繕のようなもの。手入れを怠らなければずっと住んでいられますが、ちょっとした傷みでも放っておけば雨風にさらされ、たちまちに雨漏りや亀裂など、取り返しのつかないことになってしまう。日々のお手入れ、メンテナンスは想像以上に大事なことのようです。外見ばかりでなく内面、心にも。
 私が高野山で修行をしていた頃、お師僧様がこんなことを仰ったことがございました。「毎日、仏様の前に座るようにしなさい。…まぁ、最悪、十秒でもええから」と。え、十秒でいいの? 私が戸惑っておりますと、お師僧様はこうお続けになるのです。「仏様に真っ直ぐ向き合ったら、自分の心が見える。心の汚れも、よう見えてくる。毎朝、鏡に向かって顔を洗って髭を剃って、いろいろ身だしなみを整えるみたいにな、毎日ちゃんと心の身だしなみをせなあかんよ。」
 外見に付いた埃や汚れなら目に見えますし、自分では気付いていなかったことを人に指摘されても「ああ、教えてくれてありがとう」と感謝できる。「なんだと!」なんて怒る人は、まぁ多分、いないでしょう。でも、心についた埃や汚れを人に指摘されると、なかなか素直にはなれないもの。もしそれが長年の間にこびりついた汚れなら猶更です。だからやっぱり、仏様やご先祖様方と真っ直ぐ向き合って、自分で気付かせてもらうのがきっと一番いい。お寺やお仏壇などの前で手を合わせる時間は、そういう貴重な時間なのかも知れません。
 外見も心も、放っておくと汚れが付いたりいろいろ溜まってまいります。徹底的な対処が必要となってしまう前に、ほんのちょっとの手間で済む日々のお手入れを忘れぬようにしたいものでございます。


                                             (榮雅)


平成25年 5月〜7月行事ご案内

 5月17日 (金) 午後1時より  月例法要

 6月2日 (日) 午前9時より  写経の会
 6月17日 (月) 午後1時より  月例法要

 7月7日 (日) 午前9時より  写経の会

 7月8日頃〜15日頃    お盆棚経期間

 7月17日 (水) 午後1時より  盂蘭盆大施餓鬼会
 7月28日 (日) 午後6時より  献灯会

◇花まつりコンサートご報告

 今年の花まつりコンサートで演奏された「2声部のためのインヴェンツィオン」と「3声部のためのシンフォニア」は、なんでも演奏の教材、作曲の規範としてバッハが残した、奥深い曲集だそうです。いわば曲を通じてバッハと対話をし、技巧を学び、曲の構成を教わるようなものでしょうか。非常に濃密な演奏でございました。
 また、武久源造さんと久郷ポンナレットさん、そして司会進行役の私の鼎談ではカンボジアのお坊さんの話やポルポト政権時代の話など、貴重なお話を聞くことができました。今年の桜はかなり気が早く、境内はすでに葉桜だったのですが、本堂の方で話に花が咲いたわけです。
 そしてなにより素晴らしかったのが、武久さんがアレンジし、ポンナレットさんが唄ってくれたカンボジアの童謡と国歌。チェンバロの伴奏で歌われたことなど世界初でしょうし、もしかしたら今後も二度とないかもしれない。そんな素晴らしい一夜でございました。御協賛とコンサートのチケット収益金より30万円を、カンボジアの子どもたち、そして東日本大震災で被害に遭われた地域の子どもたちへの支援のためにご寄付いたしました。ありがとうございました。