ひとくち伝言 平成30年1月

正見 正思惟 正語 正業

                  平 成 三 十  戊 戌  年  正 月

 謹んで新たな一年のご挨拶を申し上げます。日本ではきっちり年が明けてから新年の雰囲気になりますが、アメリカなどでは一足早くクリスマスの頃から、中華圏では春節、つまり旧正月の頃が最も賑やかな様子ですね。この旧正月について、先日、知人のお子さんからこんな質問をされました。
「昔の正月ってことは、今はもう正しくないってこと?嘘正月?」
 あれ、正月の正って、正しいって意味でしたっけ?。多分、正(まさ)しく基準となる月の意味だと思いますが、そもそもなぜ一月一日が元日なのか。普段、暦というものをごく当たり前に使っているだけに、考えてみるとなかなかの難問であります。

 まず、私たちが普段使っている一年や一日、一か月、一週間、二十四時間(十二時間)や六十分といった時間の単位は、太陽や地球、月といった星々の動きを基準にしています。そして一年の始まりもまた天体が基準なのですが、時代や文化、風習によって正月の時期は様々。太陽が遠く、昼が一番短くなる時(冬至・クリスマス頃)や、昼と夜の長さが等しくなる春(春分・お彼岸や復活祭の頃)、冬至と春分の中間(立春・節分翌日)、その前後の新月(春節)などなど。イスラム教圏では月の満ち欠けだけが基準なので、正月の季節も毎年少しずつズレるのだとか。日本の旧暦は中国と同じく立春頃の新月が正月。新暦として採用された現在のグレゴリオ暦は少しややこしくて、冬至の後の新月を新年としていたそれまでの暦を元に、まず春分を当時の三月二十一日と定め、それから逆算して一月一日を調整した暦だそうです。暦の数だけ正月があると言ってもいいくらいで、当然のことながらどれが正しい、なんてことはありません。使っている基準が違うだけです。

 自分が当たり前に持っている基準の「正しい」と、他人の「正しい」が違うことがあります。そんな時、「正しい」の反対が「間違い」だと考えれば、自分を間違いにしないために、対立しなければなりません。お釈迦さまは、そういった対立的な考え方から離れることこそが正しい道と考えました。時代や立場、考え方によって基準はいくらでも変わるのだから、それぞれに正しさもあるのでしょう。一方的に自分の基準を相手に当てはめてみても、意味が無い。「正しさ」にもし反対の言葉があるとすれば、「別の正しさ」や、時には相手を受け容れる「寛容」なのかもしれません。一人一人、多様な価値観が飛び交う現代だからこそ、それぞれの正しさとうまく付き合っていきたいものです。
 正月にその一年の安泰を祈り、修行する法要を修正会と申します。どうぞ皆様もお正月を心を整える機会としていただきまして、満月の如き円満な一年をお過ごしくださいませ。
 
 草野榮雅 拝

  *  *  *  *  *  *  *  *  

 平成三十年 行事ご案内

 一月一日(月) 修 正 会(護摩修行・祈祷)
         午前六時および午後二時頃、本堂にて修行
 一月十七日(水) 初観音大護摩供
 二月三日(土)  節分会 星まつり   午後二時より法要、豆撒き
 二月十七日(土) 観音経読誦会(月例法要)
 三月十七日(土) 春彼岸 大施餓鬼会
 四月八日(日) 釈迦降誕会(花まつり)
            花まつりコンサート
 四月十七日(火) 観音経読誦会
 四月二十九日(日・昭和の日) 慈音会法要・多宝塔供養会
 五月十七日(木) 観音経読誦会(護摩供養)
 六月十七日(日) 観音経読誦会
 七月十七日(火) 盂蘭盆 大施餓鬼会
 七月二十九日(日) 百観音献灯会 夕方六時より
 八月十七日(金) 観音経読誦会
 九月十七日(月) 秋彼岸 大施餓鬼会
 十月十七日(水) 観音経読誦会
 十一月十七日(土) 境内石仏総供養大護摩供
 十二月十七日(月) 観音経読誦会(納めの百観音法要)

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

●毎月十七日 観音経読誦会(月例法要)
毎月午後二時より、僧侶方の声明(節の付いたお経)の後、太鼓の音に合わせて妙法蓮華経観音経と般若心経をご一緒にお唱えいたします。法話の後は茶話会をお楽しみください。
どなたでもご参加いただけます。
正月、五月、十一月は護摩法要、三月、七月、九月は施餓鬼法要を併せて修行いたします。

●毎月第一日曜日ならびにその翌日の月曜日
午前九時より 写経の会 (小筆と納経料千円をご用意ください)
※一月も第一日曜日と翌日の七日と八日に行います。二月は節分のため第二日曜日の十一日と十二日。
  八月はお休みです。

●毎月第二金曜日 午後一時より習字の会
参加ご希望の方はどうぞお問い合わせください。

●毎月第二土曜日の午前九時より坐禅の会
呼吸法を中心とした気楽な坐禅です。ゆったりした服装でお越しください。参加料 五百円。八月はお休みです。