ひとくち伝言 平成30年5月

 今年の桜はだいぶ威勢の良い咲き方でしたね。少し勢いがありすぎて、桜の花に追い付かなかった「桜まつり」が全国にどれだけあったことか。一つ二つとほころんでいく桜の花を目にすると、ようやく春が来たかと心和むものですが、桜のイベントに関わる方々はきっと戦々恐々としながら見ていたことでしょう。これほど開花が早かった理由が、「冬がとても寒かったから」というのも不思議な話です。

 桜の花の元になる花芽は、実はまだ暑い夏のうちに作られていて、ある程度育ったところで休眠してしまうのだそうです。やがて秋が過ぎて葉は全て落ち、まるで枯れ木のような姿になっても、その中で花芽は眠り続けます。そして、その冬の厳しい寒さを経験することでパッと目が覚める。休眠が打破され、開花の準備が始まるのです。暖かく安定した環境ではなかなか目が覚めず、春が来ても満開にならないこともあるのだとか。日本の象徴たる桜は、気温や環境を大きく変化させる四季によって育まれているのかも知れません。
 そういえば仏教の象徴である蓮も、そのままではなかなか芽を出すことができません。時に数百年もの時を超えるほど殻が固く安定している蓮の種は、その固さのためにうまく水を吸収できないのです。そのため、種から発芽させる時は殻を削ってやらなければいけないのですが、これがなかなかに面倒です。なにせ、ハサミも歯が立たないほど固い。頑なに身を守るその強固な殻が傷ついた時、外界の栄養を取り込む余地が生まれ、芽生えが起こるというわけです。厳しい寒さが無ければ咲けない桜。傷つかなければ芽吹けない蓮。どちらも実に示唆的というか、大切なことを教えてくれているようです。

 如何ともし難い厳しい状況の中で、傷つきながらも自身の可能性を大きく開花させる人がいます。天災や、環境や、社会の変化や、病気や、事件や、死別や、挫折などを因として。その因となった出来事を、「あって良かった」などと肯定することはそうそうできませんが、苦難の中で努力を結実させる姿はとても頼もしく、なんだか救われる気がします。その人の中に春を感じるからでしょうか。
 はっきりと目に見えるのは咲いた花ばかりですが、目には見えなくとも、きっとあちらこちらに、春が育っています。

草野榮雅 拝

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平成30年5月〜7月の行事予定 

 5月6日・7日 (日・月) 午前9時 写経の会
 5月12日 (土) 午前9時 坐禅の会
 5月17日 (木) 午後2時 観音経読誦会 並びに護摩供養

 6月3日・4日 (日・月) 午前9時 写経の会
 6月9日 (土) 午前9時 坐禅の会
 6月17日 (日) 午後2時 観音経読誦会

 7月1日・2日 (日・月) 午前9時 写経の会
 7月17日 (火) 午後2時 盂蘭盆大施餓鬼会
 7月29日 (日) 午後6時 献灯会

◇お正月と五月と九月は、一年を三分割した場合の節目です。一年の始まりである正月、最も生命力が盛りを迎える五月、冬の休息期へと向かう九月は、仏教では閻魔様の監査が入る月でもあるそうです。五月十七日は護摩供養をいたしますので、どうぞご参拝くださいませ。
なお、六月十七日は塗香作りに挑戦してみようかと思います。ご興味がお有りの方は是非どうぞおいでください。

◇まだ少し先ですが、今年の十月九日に山梨のぶどう寺「大善寺」への日帰り参拝旅行がございます。薬壺ではなくぶどうをお持ちの薬師如来がご本尊で、今年は五年に一回の御開帳となります。いろんな宗派のお坊さんが集まる仏教情報センターで企画をしておりますので、ご興味のある方は是非ご参加くださいませ。
詳細はまた改めてお知らせいたします。

◇お釈迦樣の誕生日に合わせて行っている花まつりコンサート。今年はピアノの原型、「スクウェアピアノ」の素朴で暖かい音色が本堂に響きました。
純益108,960円はすべて、災害等発生時の寄付金として留保し、留保している総額は312,679円となりました。ここにご報告をいたします。