ひとくち伝言 令和元年11月

  如来とか菩薩とか、仏さまにもいろいろとお立場があるようで、いったい何が違うのかと迷ってしまう方もいらっしゃることと存じます。そこで、ちょっとマラソンに喩えてみるとしましょう。如来はすでにゴールに辿り着いている方、菩薩はゴールを目指している途中の選手と考えると、少し分かりやすいんじゃないでしょうか。

 お釈迦さまこと、釈迦如来を始めとして、阿弥陀如来や大日如来が有名な如来は、「真如(悟り)の世界へ行きし者」とか「かくの如く来たりし者」という意味。基本的には浄土というゴールにいます。「ここが目的地ですよ」と手を振って、目指すべき場所を示してくださっている。時にはゴールから出張ってきて、導いてくださいます。
 一方、菩薩は「菩提(悟り)を求める者」のこと。観音菩薩や地蔵菩薩、文殊菩薩などがお馴染みです。あれ?つまり観音さま方は、まだゴールしていない半人前ってこと?いえ、実はこうした菩薩方は、他の未熟な菩薩がちゃんとゴールできるようサポートするために、あえてゴールしないでくださっています。その未熟な菩薩とは、我々のこと。仏さまを目指す人は誰でも、たとえゴールにはまだまだ遠くとも、立派な菩薩です。
 そして、不動明王や愛染明王などの明王は、道を間違えたり邪魔が入らないよう先導したり守ってくれる警備部、帝釈天や弁財天、韋駄天なんかの天部はボランティアスタッフのようなポジションでしょうか。つまり、こんなイメージです。

「はぁ、はぁ」
 もうどれくらい来たんだろう。ゴールは遥か先だけど、なんとなく見えている。「ここだぞー」と、誰かが手を振ってくれているようだ。一緒に走って、苦しさを分かち合える人がいる。心強い。懸命に走る選手もいれば、他の選手を助けながら走る選手、のんびり楽しみながら歩く選手もいるんだな。
 ゴールを見失ったり、立ち止まったことも、逆走してしまったこともあったけれど、道を間違えた時にはちゃんと正してくれた人がいた。このマラソンは、ゴールをあきらめさえしなければ、誰だって立派な選手だ。
 給水所で水を受け取った。くうーっ、乾いた喉に染み渡る。たまに声をかけて応援してくれる人もいる。
「しっかり!歩いても立ち止まってもいいから、あきらめるなよ!」
 応援が有難い。よし、もうひと踏ん張りだ。

 この輪廻というマラソンの、ゴールまでの道筋のことを、仏道と申します。

草野榮雅 拝

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令和元年 11月〜令和2年1月の行事予定

 11月3日・4日 (日・月) 午前9時 写経の会
 11月9日 (土) 午前9時 坐禅の会     
 11月17日 (日) 午後2時 百観音巡り 百観音総供養

 12月1日・2日 (日・月) 午前9時 写経の会
 12月14日 (土) 午前9時 坐禅の会
 12月17日 (火) 午後2時 納めの観音経読誦会法要
   
 1月元日 (水) 修正会 午前6時・午後2時に新年祈願護摩
 1月5日・6日 (日・月) 午前9時 写経の会
 1月11日 (土) 午前9時 坐禅の会
 1月17日 (金) 午後2時 初観音法要 (観音経読誦会)


◇11月は毎年、境内石仏の総供養として百観音巡りをいたします。
本堂で観音経読誦と護摩祈祷を修し、その後、境内 石仏一尊一尊を巡り、参拝していただきます。
お賽銭は、観音様とのご縁を願って5円玉百枚(五百円)と両替できるようにご用意いたします。
もちろん、ご自身でお賽銭をご用意いただいても結構です。
 参拝後は石窯で焼き芋を作ろうと思います。どうぞお楽しみに。

◇百観音明治寺のLINEアカウントを作りました。どのような活用ができるか、まだ手探りの状態ですが、よろしければご登録くださいませ。

◇お正月の元日は日の出に合わせて元朝護摩を修法し、午後2時に新年の招福を祈願して護摩祈祷を修法いたします。
ご希望の方には内陣にお入りいただいて、護摩の火の横で直接添え護摩木をくべて いただきます。
また、今年も本尊如意輪観音菩薩の手にお手綱をお繋ぎします。どうぞご参拝 くださいませ。