ひとくち伝言

  如何菩提謂 如実知自心 (悟るということは 自心を知ること)

                  令 和  二  庚 子  年  正 月

 謹んで令和初の年頭のご挨拶を申し上げます。
 実は今年は、あることが提言されている年でもあります。それは「自分の心を知り、他人の心を想像すること」が、普段の生活だけでなくビジネスの世界でも、一段と重要になってくるということ。

 2017年の世界経済フォーラムにて、2020年以降のビジネスに必要な能力トップ10に、問題解決力や決断力などに混じって心の知能指数(EQ)と呼ばれる能力が挙がりました。経済や政治のリーダーたちが今、心というものに注目しているわけですね。「成功したいのならEQを高めること」なんてことも言われているほどです。「指数」と言うと心を数値化するようで嫌ですが、これはIQに因んでそう呼んでいるだけ。要は自分や他人の心を感じ取り、うまく付き合うのも大事な知性ということです。計算能力や論理的思考ばかりが知性じゃない。人の心を無視した合理的判断が知性的だなんてイメージは、とんだ時代遅れになりつつあります。

 人間の根本近くにはまず快か不快かを判断する部分があり、そこから感情やエネルギーが生まれます。理性はその上に乗っかっていて、まるで牛に乗ったネズミのようなもの。ひとたび感情という牛が暴れれば、理性のネズミは振り落とされてしまいます。「ブモオォォォ!」と感情が好き勝手に暴れまわった後、振り落とされた理性がよろよろと戻ってきて、目の前の惨状を見て頭を抱えることもしばしば。牛とうまく付き合いたいならその牛のことをよく知り、動きを感じなければいけない。そして、他の牛とぶつからないためには相手の牛もちゃんと見ておく必要がある。なんせ、相手の理性だって感情に振り落とされるかも知れないんですから。EQとは、理性のネズミが心を暴れ牛にさせることなく無用な衝突も避け、お互いの心が持つ力を良い方向へ向けることとも言えるでしょうか。

 この日本でもだいぶ前から、ビジネスにおいても心が大事だと見抜いていた人がいました。新たに壱万円札の顔となる日本近代経済の父、渋沢栄一です。渋沢は「右手に算盤(そろばん)、左手に論語」をモットーとしていて、商売は損得勘定だけではいけない。人を思いやる仁の心と、自分がどうあるべきかを知ることが欠かせないと考えていました。今は生活が便利になり、面倒な人付き合いも避けて生きられてしまうからこそ、自分の心も他人の心も余計に大事にしたいものです。
 ちなみに、EQ向上のためにあの大企業、Googleは仏教に由来する瞑想、マインドフルネスを社員教育に取り入れました。実は、仏教はEQ向上の智恵の宝庫です。新たな年、新たな御代を良きものとするべく、どうぞお寺をご活用ください。

草野榮雅 拝

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令和二年  行事ご案内 毎月十七日の法要はすべて午後二時からです
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 一月一日(水) 修 正 会(しゅしょう え )(護摩修行・祈祷)
                午前六時および午後二時頃、本堂にて修行
 一月十七日(金) 初観音大護摩供

 二月三日(月) 節分会 星まつり
             午後二時より法要、豆撒き
 二月十七日(月) 観(かん)音(のん)経(ぎょう)読(どく)誦(じゅ)会(え)(月例法要)

 三月十七日(火) 春彼岸 大施餓鬼会

 四月五日(日) 花まつりコンサート
 四月八日(水) 釈迦降誕(ごうたん)会(え)(花まつり)
 四月十七日(金) 観音経読誦会
 四月二十九日(水・昭和の日) 慈音会法要・多宝塔供養会

 五月十七日(日) 観音経読誦会(護摩供養)

 六月十七日(水) 観音経読誦会

 七月十七日(金) 盂蘭盆 大施餓鬼会
 七月二十六日(日) 百観音献灯会 夕方六時より

 八月十七日(月) 観音経読誦会

 九月十七日(木) 秋彼岸 大施餓鬼会

 十月十七日(土) 観音経読誦会

 十一月十七日(火) 境内石仏総供養大護摩供

 十二月十七日(木) 観音経読誦会(納めの百観音法要)

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令 和 二 年 年回表
  一周忌  平成三十一年(令和元年)寂   十七回忌  平成十六年寂
  三回忌  平成三十年寂          二十三回忌 平成十年寂
  七回忌  平成二十六年寂         二十七回忌 平成六年寂
  十三回忌 平成二十年寂          三十三回忌 昭和六十三年寂


  ● 毎月十七日 観音経読誦会(月例法要)
     毎月午後二時より、太鼓の音に合わせて妙法蓮華経観音経と般若心経をご一緒にお唱えいたします。法話の後は茶話会をお楽しみください。どなたでもご参加いただけます。
     正月、五月、十一月は護摩法要、三月、七月、九月は施餓鬼法要を併せて修行いたします。

  ● 毎月第一日曜日ならびにその翌日の月曜日
     午前九時より 写経の会 (小筆と納経料千円をご用意ください)

    ※二月は節分のため、第二日曜日の九日と十日に行います。
     なお、八月はお休みです。

  ● 毎月第二土曜日の午前九時より坐禅の会
     呼吸法を中心とした気楽な坐禅です。ゆったりした服装でお越しください。参加料 五百円。八月はお休みです。