ひとくち伝言 平成13年9月(123号)




 松崎慈恭師の「八段章・勤行法則」の話の続きです。明治寺で用いる経本の冒頭、十善戒の前に三帰(さんき)という部分があります。
 「弟子某甲尽未来際/帰依佛/帰依法/帰依僧」に添えられた言葉が次です。
  このよのつゞく そのかぎり ほとけのじひを たのみます 
  みのりのむねを しんじます みちびくひじりに きえします
 「ほとけのじひをたのみます」も時代がかっていますが、そう言われたら仏さんだって「よしよしわかった まかせなさい」と応じたくなりますね。二人称の呼びかけの形が鮮明になると、「相手」が浮かび上がってきます。
 ここでは僧を「ひじり」と言っておりますが、本来は僧伽(そうぎゃ)のことで、その意味は「仏道を行じる人の集まり」ということです。これがなかったら、仏教の「ぶ」の字も今に伝わっていなかったことでしょう。
 そして十善戒があって、次に短い真言が三つほど続きます。真言というのは、訳さずにそのまま唱える言葉なので、「このような気持ちでとなえるとよい」という意味での添え書きと理解すべきかと思います。

 発菩提心真言「おん ぼうじしった ぼだはだやみ」
  わがこゝろ つねにほとけのみこころに かなはしめたまへ

 三昧耶戒真言「おん さんまや さとばん」
  わがおこなひ いつもほとけのみわざしごとを なさしめたまへ

 光明真言「おんあぼきゃ べいろしゃのう まかぼだらまに
                はんどま じんばら はらばりたや うん」
 はてからはてまでかゞやきわたる わがみほとけのひかりのなかに
 さいはひおほきたゞしきみちを いついつまでもあゆましめたまへ

 これらの言葉は我々の生き死にをこえて通用する言葉であることに、大きな値打ちがあります。仏教に限りませんが、生死の垣根をこえて二人称の言葉が交わされること、これが宗教というものの本質かも知れません。
 私の尊敬する住職のお父上のお話を思い出します。その方も偉い和尚様でしたが、むかし、まだ幼いご長男を病気で失わねばならないことがありました。臨終の際に、ご子息に向かってこう言われたといいます。
 「だんだん暗くなってゆくけれど、こわくはないからね、安心してまっすぐ歩いて行くんだよ。やがてお花畑にきたら、そこでお休み。みんな一緒になかよく遊ぶんだよ…」
 平易な言葉ではありますが、平易な言葉は意味が浅いとは限りません。

百観音明治寺 住職 草野榮應







   ひとくち伝言板   

明治寺;〒165-0025 東京都中野区沼袋2-28-20


平成13年(仏紀2566年・2001年)9月の行事ご案内


9月2日(日) 午前9時より  写経の会・法話

9月6日(木) 午後1時半より  法話の会

9月17日(月) 午後1時より   百観音法要 並びに
                 秋彼岸お施餓鬼法要(塔婆供養)

9月12,26 日(水) 午後6時半より 坐禅の会




 献灯会(中間)ご報告とお礼
 参院選の為か、人出は昨年より少なめでしたが、お灯明の数はほとんど変わりませんでした。お参り下さった方、ご協力くださった方、みなさんの手づくりで育てていただいた行事として、だんだん定着してきたのがうれしいです。
 灯明の数 約937灯
ご協力下さった方々:百観音通り商店会様、沼袋親交会様、野方消防第七分団様栄通り商店会様、ガムラングループ・ランバンサリ様、沼袋長生会様、沼袋一一会様、お寺の映画会様、友人有志様、大道芸塾様、アヅマ電気様、花力様、ほか……なお、ユニセフ寄付は、おそらく昨年と同じ位できると見ていますが、正式には最終清算が終わってからご報告いたします。
 ありがとうございました。

 郵送代 感謝録 (記入もれがありました場合はお許しください)
 広田寿男様、井出孟雄様、匿名様、杉浦暁美様、後藤幸江様、仲間芳子様、田畑嘉子様、福島きよ子様、ほか。

 さしもの夏も、そろそろ手の打ち所を考えているのかも知れません。首都圏の水不足も解消したようです。マスコミというのは、水が不足している時には、あれほど毎日「水がない」を連呼するのに、一度雨が降るともう何も言わなくなります。もうすこし「水はこれだけ増えた」と言いつづけてほしいと思います。あるものは言わない、無いものだけ言い立てる、これが今の日本の気分を暗くしていないでしょうか。

 PRコーナー
萬天館シアター公演「マイ・フェア・ジュエリー」
9月7・8・9日 昼 15:30〜 夜 19:30〜(9/9のみ 17:30〜)
新宿スペース107 03-3342-0107 新宿西口徒歩1分 安田生命裏

 毎年節分の時に、鬼さんコントを演じてくれる三波伸一さんたちのコメディ公演です。コメディ劇団を率いて奮闘しています。ぜひ応援してください。
 前売り3000円/当日3500円 問い合わせ先:萬天館事務局3207-1224



百観音明治寺 草野榮應