ひとくち伝言 平成18年3月

「なんで花まつりの時にはプレゼントを貰えないんだろう?」

 子供の頃、私が感じていた疑問です。
 キリストさまの誕生日であるクリスマスには、サンタクロースがプレゼントを持ってきてくれるのに、お釈迦さんの誕生日には誰も来てくれません。サンタクロースはキリスト教の聖人、聖ニコラスが由来だそうですから、仏教で来てくださるとしたら仏さまの弟子である羅漢さまあたりでしょうか。しかし多くの羅漢像は、子供から見ると怖い顔をしてらっしゃる場合が多いので、それじゃまるで「悪い子はいねぇか!」と家々を廻る秋田のナマハゲだな、と大変失礼な事を考えていたのを覚えております。

 さて、残念ながらこの時期の花ではないものの、仏教で花と言えば、普通はハスの花、蓮華を意味します。蓮華は池の底、泥の中から茎を伸ばして、水面の上に華麗な花を咲かせます。そして、その花弁や茎は水を弾いて汚されず、花開くと同時に実を結ぶ事から、迷いの中から花開く悟りの心に喩えられてきました。観音さまが手にしていらっしゃる花もこの蓮華ですし、ほとんどの仏さまもこの蓮華の上に座ってらっしゃいますね。生命力も非常に強く、二千年前の種から発芽した例(大賀ハス)もあるそうです。なんて頼もしい!

 以前、私が思春期のど真ん中、つまり悩みや不安の沼に頭の先までどっぷりと嵌っておりました頃、父にこんな事を言われました。

「今のうちにいっぱい悩みなさい。悩む事は悪いことではないから。いつかその悩みの中からちゃんと芽がでるよ。」

 もちろん悩みすぎるのは良くない事なのかも知れませんが、だからといって「ハイ、そうですか」と悩む事を止められるなら、最初から悩みはしません。逆に「悩んじゃいけないのに悩んじゃう…」と、さらに悩んでしまう気がします。

 父のこの言葉は、私の気持ちを大分楽にさせてくれましたし、その時期を抜けた今考えてみると、やっぱりその言葉通りに、悩みの中から得た物も多かったように思います。蓮華に限らず、盤石な地面からは芽は出にくいものです。耕したり虫や微生物にこねくり回されたところから種は発芽するように、悩む事、心が不安定になってしまう事も、思春期に限らず、時に必要な事なのかも知れません。

 ところで、このひとくち伝言を書くまではあまり意識していませんでしたが、ちゃんとプレゼントは貰っていたようです。クリスマスのようにオモチャを頂いたわけではありませんし、花まつりの時に頂いたわけでもありませんが、仏弟子である父を通じて、本当にたくさんのものを頂いていたんだなぁと、今気付きました。
                                                  (榮雅)



ひとくち伝言板

◇3月〜4月の行事予定

 3月5日 (日)
   午前9時より  写経の会

 3月17日 (金)
   午後1時より  春彼岸 大施餓鬼会
             ※お塔婆をご希望の方は前もってお申し込みを
              お願いいたします。1体3,000円です。

 4月2日 (日)
   午前9時より  写経の会

 4月8日(土)   花まつり
   午後6時より  花まつりコンサート

 4月17日 (月)
   午後1時より  月例法要

 4月28日 (土)  多宝塔総供養(慈音会)

◇また年がめぐり、12回目の花まつりコンサートとなります。内容も年ごとに充実の度合いを深めており、今年も是非大勢さまのおいでをお待ちしたいと存じます。

 また、例によりまして楽器運搬・設営等の経費のために、1口1万円のご協賛をお願いできれば幸いです。そうしますと純益をそのまま、カンボジアの子供のために寄付できることになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。