ひとくち伝言 平成22年7月
名付けというのは大変なことであります。意味はもちろん、語感や音の響きも大事ですし、他の人と同じになってしまってはまずい。かといって読み方が特殊すぎると呼ぶ方が困るかも知れない。あまり普段使われない漢字を使うと書く時に間違えやすいし、最近ではパソコンで入力できないなんて問題もある。その人にあった名にしなければいけないけれども、ちゃんと仏教の教えが根底になければいけない…。はい、お戒名の話ですよ。
お盆のお棚経で、ご先祖様のお戒名をどうお読みすればよいのか迷ってしまうことがたまにございます。例えば「正」や「清」のように音読みが二つ以上ある字や濁ったり濁らなかったりする字、一般的な読みと仏教読みが違う「回」や「峯」なんかが入りますと、少し難易度アップです。まぁ読み方を迷う時は、大抵ご家族の方に聞いてしまいますが。
やはりお戒名は、なるべく正しく読み上げたいと思うのです。お戒名は、仏さまの弟子としてのお名前。仏教徒として守るよう努めなければいけない戒律と、言葉には出来ない教えの真髄を伝え、それと共に様々な願いを込めて師から弟子へ贈られるものです。立派な仏さまに成ってくださいと、祈りを込めて呼びかける名なのであります。
この「師から弟子へ」というところ、重要です。私の場合、お師僧さまのお師僧さまのお師僧さまの…と辿っていくと、46番目がお大師さま。つまり、私は弘法大師空海の曾曾曾曾曾曾曾……、曾×44孫弟子となります。ですから、私がお葬儀などで引導をお授けいたしますと、その方はお大師さまの曾×45 孫弟子になるわけです。お戒名はただ名前が変わるというだけのことではない。そうやって脈々と受け継がれてきた祈りを、今、自分も受け継ぎ、家族や友人や、その他多くの人々を見守っていこうと誓う。そういう存在としての名です。
お戒名についてのトラブルやお葬式に関する様々な意見をよく耳にいたします。話を聞いてみますと、ほとんどがお金の問題のようです。寺が、死後に世話になる施設ではなく、もっと普段の生活の中で身近な存在になれていれば、こんな問題も起きなかったろうにと思うことも多々ございます。これは寺の重大な課題ですね。私も、今まで以上に真剣に考えていきたいと思います。
(榮雅)
ひとくち伝言板
◇7月〜9月の行事予定
7月4日 (日) 午前9時より 写経の会
7月9日頃〜15日頃 お盆棚経期間
7月17日 (土) 午後1時より 盂蘭盆大施餓鬼会(塔婆供養)
お塔婆は前もってお電話かFAX、eメールにて
お申し込みください。1本3,000円です。
並びに昌悦尼二十三回忌御供養
7月25日 (日) 午後6時より 献灯会 詳しくは別紙をご覧くださいませ
8月17日 (火) 午後1時より 月例法要
9月5日 (日) 午前9時より 写経の会
9月17日 (金) 午後1時より 秋彼岸大施餓鬼会(塔婆供養)
◇お盆の棚経は、ご自宅へお伺いし、ご先祖様方のためにお経を上げさせて頂く法事でございます。ご希望される方は、日程の調整をいたしますので、お早めにご連絡ください。
また、お寺へお参りいただいてお盆のご供養をなさる方もいらっしゃいます。どうぞご相談くださいませ。
◇一昨年に雷が落ちた境内の銀杏は、昨年はなんとか芽吹いたものの、今年はなかなか葉が成長せず、ついには大手術をすることになってしまいました。
枝を切り、皮を剥がし、雷が通って痛んだところに薬を塗って、包帯を巻くように全体を固定してもらっています。かなり痛々しい姿ですが、雷を一身に引き受けてくれた銀杏ですので、出来うる限りのことはしてあげたいと思っております。