ひとくち伝言 平成22年9月
聞いた話によると最近では、全く蕎麦を打ったことがない素人でも蕎麦屋を開けるそうです。
一瞬、「え?」と思いますよね。でも確かにちょっと考えてみれば、お店で麺を打たなくとも製麺所で作られた麺を仕入れて茹でればいい。蕎麦をわざわざ自分のところで打たなくとも、商品として安定した品質の蕎麦を出せます。実際、麺を打つ場所の無さそうな立ち食い蕎麦屋は沢山ありますし、ちょっとした軽食処や、高速道路のサービスエリアなんかでも所謂ファストフードとして普通にメニューに載っています。中には意外と(失礼)美味い蕎麦もありますし、小腹がすいた時、ちょっと手繰りたい時なんかにはまことに好都合です。
経営に関しても、お金を出しさえすれば、なにかとアイディアを出してくれるコンサルタントやアドバイザーもいることですし、本やインターネットでも情報をたくさん集めることが出来る。確かにこれなら素人が蕎麦屋を開くのになんの問題もないじゃないですか。しかしながら、「それならいっちょやってみっか」てな具合にお気楽に始めてしまうと、なかなか大変な目に遭いそうですが。
そのまますぐに使える出来合いの商品やサービス、必要になった時に即座に調べられる情報や知識は大変便利で、蕎麦職人でなくともそれなりに美味い蕎麦を出すことは出来ます。だけれども、素材を吟味し、試行錯誤から得られた経験を元に出来上がった手打ち蕎麦はやっぱり一味違う。どっちの方がいいというわけではなく、状況によって選べばいいことですけどね。
智恵というやつにも似たところがあって、知識をいろいろなところから引っ張ってきて繋ぎ合わせ、それなりのものを出すことは出来るのだけれど、本当の意味での智恵はやっぱり借り物の知識からは生まれない。人生を生きる上での大切な智恵というのは、経験からの知識にしても本からの知識にしても、じっくり噛み締めて、その知識が自分の物になり、他の知識とも結びつき合って初めて生まれるものだと思います。
昔、父によく言われました。「本を手に入れて安心するな、一度読んで安心するな」と。今、情報をいくらでも調べられるようになってかえって、一度見たり読んだりしたくらいでは充分ではないことや、実際に体験することの大切さが身に染みます。読書百遍とまではいかなくとも、せめて何度かは読まなきゃなぁ…。未読の書籍の山を前に、そんなことを思いました。
(榮雅)
ひとくち伝言板
◇9月〜11月の行事予定
9月5日 (日) 午前9時より 写経の会
9月17日 (金) 午後1時より 秋彼岸大施餓鬼会(塔婆供養)
お塔婆は前もってお電話かFAX、eメールにてお申し込みください。1本3,000円です。
10月3日 (日) 午前9時より 写経の会
10月17日 (日) 午後1時より 月例法要
11月7日 (日) 午前9時より 写経の会
11月17日 (水) 午後1時より 月例法要 並びに
境内石仏総供養
◇今年の献灯会は途中から生憎の雨となり、映画上映とランバンサリのガムラン演奏は本堂で行うこととなりました。いつもとは違った趣向で、これはこれで良かったのではないかと思います。
さだまさしさんもお見えくださり、大いに賑わいました。
お陰様をもちまして、186,949円を日本ユニセフ協会へ寄付すること が出来ました。 この場を借りてご報告、ならびに御礼申し上げます。
◇多くの方にご心配いただいている庭の銀杏の木ですが、まだなんとか頑張ってくれています。今年の夏は雨が少ないので我々もやきもきしておりますが、ちょくちょく水をやり、応援をしております。皆様もどうぞ応援をよろしくお願いいたします。
◇現在、来年の百周年に向けて、明治寺が戦後に発行していた同人誌「沙羅の集」の復刻をするべく話を進めております。寺でも保管していたものの、全てではございませんので、もし当時の本をお持ちの方がいらっしゃいましたらご連絡をいただけたら幸いでございます。