ひとくち伝言 平成23年3月
伝言ゲームという遊びがあります。ある言葉を素早く、そのまま次の人にどんどん伝えていくという、ただそれだけの本当に単純なゲーム。ただそれだけのはずなのに、面白い。ゲームとして成立してしまいます。例えば、「りんごとジャガイモを買ってくる」というお題が何人にも伝わるうちに少しずつ変わって、最終的に「金魚が歯医者へ行く」なんてことになる。物事を正確に伝えるというのは本当に、本当に難しい。
先日のこと、地域のことを調べるために、近所の子どもたちが寺を訪ねてくれました。そこで、このお寺は明治から大正に移り変わる頃に開かれ、今年で百年となることや、西国、坂東、秩父の百ヶ所の霊場の観音様の御姿を写して石仏を建立したので百観音と呼ばれていること、実際には番外も含めて百八十体ほどいらっしゃることなどを説明いたしました。その時に、境内の公園部分にあるすべり台は元は鐘楼(鐘撞き堂)で、戦争時、お国のために金属を供出すべしという命令によって、梵鐘も「もっていかれてしまった」と説明したのですが…。後日、そのレポートをいただいたので拝見しますと、鐘は「盗まれてしまった」と書かれておりました。惜しい。けれど微妙に違う。また、お坊さんの普段の仕事についても聞かれました。お経をあげたり、掃除をしたり、勉強をしたり、相談を受けたりと、一言で「これが仕事」とはなかなか言えないんだと申しました。レポートには「これといって仕事がない」と書かれておりました。惜しい。けれど大分違う。言葉が足りなかったと、深く落ち込み、反省いたしました。
観音経に、観世音菩薩は大切なことを伝えるために、相手に応じていろいろな姿に変化する、という一節があります。例えば仏の姿で現れるべき時には仏の姿で。阿修羅の姿がふさわしければ阿修羅の姿で。お坊さんや女性、子供の姿の時だってある。ということは、我々が日常的に出会う人の中に、観音様の化身がいらっしゃるのかもしれない。時には、家族や友人の顔を借りて自分を導いてくださることもあるのかも。なんてこった。観音様も、教えを伝えるためにこんなにまで工夫をされていらっしゃる。一方的に情報を投げつけるのではなく、相手に応じて、相手がちゃんと受け取れるように伝えるのが大事なのだと、教えてくれている。
誤解やすれ違いというのは、どうしたってある程度は避けられないことかも知れません。が、少なくすることは出来る。それには、受け取る側の聞く態勢と同じくらい、話す側の話の仕方も大事なのだと思います。何度言ってもうまく伝わらないことがあるとしたら、言い方を変えてみるのもいいかも知れない。いろんな伝え方があるのだから。自分勝手な伝え方や無責任な伝え方では、それこそ伝言ゲームみたいに内容が全く変わってしまうことだってある。気をつけたいものです。ゲームと違って現実社会では、伝える内容が変わってしまうのを楽しむ余裕は、なかなかありませんから。
(榮雅)
ひとくち伝言板
◇3月〜5月の行事予定
3月6日 (日) 午前9時より 写経の会
3月17日 (木) 午後1時より 春彼岸大施餓鬼会
お塔婆のお申し込みは前もってお電話かFAX、
eメールにてお願いいたします。1本3,000円です。
4月20日(日)
〜22日(火) 午前7時より午後1時まで 第一回 百年祭写経会
4月3日 (日) 午前9時より 写経の会
午後6時より 花まつりコンサート
4月8日 (金) 花まつり(降誕会)
4月17日(日) 午後1時より 月例法要
5月1日 (日) 午前9時より 写経の会
5月17日(火) 午後1時より 月例法要
◇ 趣意書でもお知らせいたしました通り、明治寺開創百年を記念して皆様のお写経を新たに建立する木像聖観音立像の胎内にお納めいたします。
ご自宅ではなかなか落ち着いてお写経できない方のために、お彼岸のお中日と前後一日、4月20日〜22日の午前7時より午後1時まで、明治寺書院(旧仮本堂)を開放いたします。
硯や墨の用意はございますので、写経用紙と小筆のみお持ちくださいませ(写経用紙は寺にもございます)。なお、納経料は一万円でございます。
◇ 去年より花まつりコンサートを直近の日曜日の夕方に行うことにいたしました。今年は4月3日、18時開演でございます。ぜひ足をお運びくださいませ。
収益はNPO「幼い難民を考える会」を通じてカンボジアの子供たちへの援助となります。
出来るだけ多くの援助をカンボジアの幼い難民に送るために、チケットの他にも楽器運搬費用をお手伝いくださると大変助かります。一口一万円ですが何卒よろしくお願い申し上げます。
また、本来の花まつりである4月8日には花御堂を飾り、お釈迦様をお祀りいたします。
午前8時〜午後3時頃まで甘茶のお振る舞いもいたしますので、ぜひお参りくださいませ。