ひとくち伝言 平成26年3月

 ある雪の日のこと。寺の前の道で、積もった雪にはまってしまい、身動きが取れなくなってしまった車がありました。雪道用にも関わらず、タイヤは空転して雪を固く磨くばかり。そこで、ご近所さんで協力して車の救助活動が始まりました。
 タイヤの前の雪を掘ったり、布を敷いたりと、泥だらけになって三十分ほども悪戦苦闘したでしょうか。運転手さんがアクセルを踏み、皆で車を押して、ようやく雪の窪みから抜け出しました。「良しっ!」「やった!」と、快哉を叫ぶ私たち。そのまま挨拶も無くゆっくり去って行く車……。あれ? なんだか釈然としない。もちろん、やっと動いた車を止めれば車はまた動けなくなってしまいます。運転手さんも必死だったのかもしれない。分かってますとも。それでも何か物足りない気がするのは、心のどこかで感謝の一言を期待してしまっていたからでしょうか。

 願掛けの置物でお馴染みの禅の開祖、達磨(だるま)大師がインドより中国に到来した際、時の皇帝、武帝は大師を招いてこう訪ねました。
「私は帝に即位以来、寺院を建立し、経を写し、僧を育ててきた。この功徳はどれくらいだろうか(どれほどの功績と恩恵があるだろうか)。」
 ところが、大師の答えはたった一言。
「無功徳(全く無い)。」
 つまり、善行は一切見返りを求めてはいけないと、帝を諫めるのです。

 善い行いをして誰かに喜んでもらえたら、人間、やはり嬉しいもの。それすら期待してはいけないとは、大師もかなりお厳しい。ですが、あまりに打算的な善行は、「〜したのだから〜して欲しい」といった具合に、時に一方的な要求になってしまいます。善意や労力と引換えにして、幸運や評価、感謝や満足を得ようとするように。そして、期待した対価が十分に得られない時には、せっかくの行いも不公平な赤字の取引に感じられ、愚痴や不満となってしまうかも知れません。それでは勿体無い。
 何か意に添わぬ事があった時には、まず自分がどんな期待をしていたのかを考えてみるのも一興です。もしかしたら、期待の方が無茶だった、なんてこともあるかも知れない。そして、なるべくならお釈迦様の如く無欲の状態、即ち「釈然」としてたいもの。わざわざ求めずとも、自然と最善の果報が訪れることと存じます。

                                             (榮雅)


3月〜5月の 行事ご案内

 3月2日 (日) 午前9時 写経の会
 3月3日 (月) 午前9時 写経の会
 3月17日 (月) 午後1時 春彼岸大施餓鬼会
            お塔婆のお申し込みは前もってお電話かFAX、
             Eメールにてお願いいたします。1本三千円です。

 4月2日 (水) 第二回 坂東三十三観音参拝 日帰り旅行
 4月6日 (日) 午前9時 写経の会
           午後6時 花まつりコンサート
 4月7日 (月) 午前9時 写経の会
 4月8日 (火) 降誕会
 4月17日 (木) 午後1時 月例法要
 4月29日 (火) 午後1時 慈音会総供養

 5月4日 (日) 午前9時 写経の会
 5月5日 (月) 午前9時 写経の会
 5月17日 (土) 午後1時 月例法要並びに護摩供養

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◇春分の日前後の一週間、昼夜の長さが丁度同じくらいになる期間をお彼岸と申します。これは仏の世界を念じ、自分に連なる「いのち」に感謝を捧げる期間でございます。17日の春彼岸大施餓鬼会にて塔婆供養をご希望の方は、事前にお申し込みくださいませ。

◇ 第二回坂東三十三観音日帰り参拝旅行は、小田原方面に参ります。ご一緒くださる方はお早めにお申し込み願います。詳しくは問い合わせくださいませ。
  行程(予定) 午前8時半 平和の森公園 (沼袋駅 徒歩約2分)集合、出発
          光明寺(七番) ー 勝福寺(五番) ー 昼食 ー
          厚木長谷寺(六番) ー 星谷寺(八番) ー 午後7時頃 沼袋到着
参加費 七千円
申込締切り 3月17日 (但し定員20名に達し次第、閉切ります)

◇今年の花まつりコンサートは4月6日です。三年前、あの東日本大震災が起こり、継続が危ぶまれたこともございましたが、辛い時こそ応援と心の安らぎが必要だと、多くの皆様のご賛同をいただき、続けることができました。今年は、何度も被災地を慰問し、支援を続けてこられた武久源造さんのご縁で「災害子ども支援ネットワークみやぎ」代表小林純子さんにお越しいただきます。あれから三年が経った今、我々にどんな応援ができるのかを考える一助となれば幸いです。
なお、花まつりコンサートの収益は、NPO法人「幼い難民を考える会」を通じて東日本大震災で被害を被った子どもたち、並びにカンボジアの子どもたちを応援し、笑顔を届けるために使われます。チケットの他、一口一万円の御協賛も募っております。もしご協力いただけましたらまことに有り難く、何卒よろしくお願い申し上げます。 

 また、今年もカンボジア手織り製品の展示販売会を沙羅会館一階にて行います。