ひとくち伝言 平成27年11月

 「確かに日本は神も仏も共存する不思議な国だが、お寺の中に神社があるのは流石にデタラメじゃないか」と言われることがございます。ごく稀に。たいていの日本人は「まぁ、そんなものだろう」と、気にもとめないのですけれど。
 明治寺北門、三つの鳥居の奥には、豊穣と商売繁盛の神、お稲荷様が祀られています。開基、榮昌法尼の故郷である熊谷の玉井よりお招きした稲荷明神で、元を辿れば、弘法大師が東寺守護を願った京都の伏見稲荷が本社(ほんじゃ)です。真言宗の寺院では、鎮守(ちんじゅ)として神様を祀ることが多いのですが、これはご縁のある神様にご出張願いまして、他の神様方とトラブルが起きないよう、仲立ちとなっていただこうというわけなのです。本来は違う宗教である神仏をも繋ぐ、日本のこの伝統的な宗教感覚。ゆるくて素敵だと思いませんか?

 宗教という言葉に使われている「宗」という漢字には「集う」とか、「まとまる」という意味があります。宗はウ冠の屋根の下に、神に関することを表す示を書きますが、これは祖霊を奉った廟、つまりお墓や仏壇のこと。ご先祖様を中心として一族が団結するので、祭礼を担う家を宗家(そうけ)とも呼ぶのです。この「中心に人が集う」という意味から、仏教者のグループにも宗が使われるようになりました。宗の教え、宗教という言葉が使われるようになったのはなんと幕末の頃。英語のReligionの訳語として新しく考え出されたのだとか。
 ついでにReligionの方も分解してみますと、こちらはreとligionに分けることができます。reはリサイクルやリメイクなどのreと同じで「再び」とか「繰返し」。後ろの方は、ラテン語のリーギオという言葉からの変化で「繋ぐ」とか「まとめる」という意味。セ・リーグやパ・リーグ、Jリーグのリーグと同じ語源のようです。なんとなく、日本語の宗教という言葉と似ていますね。

 小難しいこと、ややこしいことをちょっと脇に置いておいて、宗教というものをシンプルに、ただ一言で表すならば「結束」、すなわち「絆を繋ぐこと」と言っても良さそうな気がいたします。神と人、人と人、人と仏、神と仏。時にはその絆が内向きに強すぎたり、変にねじれて争いを生んでしまうのも事実ですが、そんな時こそ、この絆を結ぶという原点に立ち返るべきなのかも知れません。
 絆は、お互いに尊重があって初めて良き縁として繋がるもの。お寺で神様もお祀りしているのは、そういうご縁を大切にしているからなのです。



草野榮雅 拝

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平成27年 11月〜 平成28年 1月の行事予定 

 11月1日・2日 (日・月) 午前9時 写経の会
 11月14日 (土) 午前9時 坐禅の会
 11月17日 (火) 午後1時 百観音巡り
              百観音総供養

 12月6日・7日 (日・月) 午前9時 写経の会
 12月12日 (土) 午前9時 坐禅の会
 12月17日 (木) 午後1時 納めの観音経読誦会法要    
 1月9日 (土) 午前9時 坐禅の会
 1月10日・11日 (日・月) 午前9時 写経の会
 1月17日 (日) 午後2時 初観音法要 (観音経読誦会)


◇ 11月は毎年、境内石仏の総供養として百観音巡りをいたします。
本堂で護摩祈祷の後、境内の石仏一尊一尊を巡り、御参拝くださいませ。お賽銭は観音様とのご縁を願い5円玉百枚(五百円)を1セットとしてご用意しますが、ご自身でお賽銭をご用意いただいても結構です。
ご希望の方には、総供養の御朱印をお授けいたします。また、護摩祈祷の護摩札をご希望の方は、一体三千円です。

◇ 台風18号による大雨災害の義援金として、皆さまからの募金11,602円を日本赤十字を通じてご寄付いたしました。ありがとうございました。

◇ 習字教室を毎月第二金曜日に行っております。ご希望の方はお問い合わせください。

◇ お正月は、元旦、1日、2日、3日の午後二時より護摩を修法し、新年の招福を祈願いたします。どうぞ御参拝ください。

◇ 来年、平成28年1月より、毎月17日の月例法要(観音経読誦会)の時間を午後2時〜に変更いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

◇ そういえば、瞑想を意味するヨーガも「繋ぐ」という意味です。
 お寺ヨガ 毎週水曜日午前10時