ひとくち伝言 平成28年1月

照見五蘊皆空
                平 成 二 十 八 丙 申  年  正 月

 移り変わる年月にも始まりがあるように、物事にはすべて始まりがあるものでございます。もちろん、仏教にも。つきましては、新たな年の初めに因み、ひとつ仏教の始まりに関するクイズを出させてくださいませ。
「仏教を開いた方のお名前はなんというでしょう?」
 随分と簡単なことを、と思われるかもしれませんが、実は仏陀もお釈迦さまも正解ではありません。答えは「ガウタマ・シッダールタ」。え、そんな人知らない?お馴染みでないのには、ちゃんと理由があります。

 両親の老後や国を任せられる跡継ぎの王子を授かり、29歳のシッダールタはついに王位を捨て、苦しみを克服する方法を求めて出家します。その当時、出家した修行者は命を失うほどの厳しい苦行をするのが当たり前でしたが、お釈迦さまは厳しい苦行の末、悟ります。「苦しみを克服したいのに、あえて苦しんでみてもあまり意味がない」と。そして瞑想によって真理に目覚め、この瞬間からブッダとなりました。ブッダとは古代インドの言葉で「目覚めた人」のこと。この尊称の発音を表すために中国では「浮図(フト)」、「浮屠(フト)」など様々な字が当てられ、最終的に「仏陀(ブッダ)」に落ち着きました。「仏」という漢字の意味は「人に非ず」。人を超越した存在という意味が込められているのでしょう。
 そんな偉大なお方を、俗人だった頃のお名前で呼ぶなんて滅相もない、ということで、弟子たちはバギャボン(尊き人)とお呼びしたり、後世になると釈迦牟尼(シャカ族の聖者)とお呼びしました。そう。シャカとは、シッダールタがかつて王子だった部族の名前なのです。
 シャカに当てられた漢字を見てみると、釈は釈明とか釈放というように「解きほぐす」、「解き放つ」という意味があります。そして迦はしんにょうが「道に立つ足」を表し、加は力と、祈りの言葉を唱える口を表すのだとか。つまりお釈迦さまの言葉とは、心のわだかまりや思い込みを解きほぐし、前に歩きだせるよう力を与えてくれる激励の言葉なのでしょう。

 思い込みや当たり前を打ち破って悟りに至ったお釈迦さまは、我々に「固執する見方を捨て、世間を空(何も定まっていない)と見なさい」と言い残されました。もしかしたら、今のその苦しみの原因は「こうでなきゃいけない」とか、「どうせダメだろう」とか、そういった思い込みなのかもしれないよ、と。
 振り込め詐欺やマイナンバー詐欺ばかりではなく、ご自分の思い込みにも騙されぬようお気をつけいただき、どうぞ実りあるお健やかな一年をお過ごしくださいませ。


草野榮雅 拝

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

平成28年の行事予定 

 一月一日(金) 修 正 会(しゅしょう え )(元旦護摩供養・祈祷) 一日〜三日 午後二時より護摩祈祷
 一月十七日(日) 初観音大護摩供
 二月三日(水) 節分会 星まつり  午後二時より法要、豆撒き
 二月十七日(水) 観音経読誦会(月例法要)
 三月十七日(木) 春彼岸 大施餓鬼会
 四月三日(日) 花まつりコンサート
 四月八日(金) 釈迦降誕会(花まつり)
 四月十七日(日) 観音経読誦会
 四月二十九日(金・昭和の日) 慈音会法要・多宝塔供養会

 五月十七日(火) 観音経読誦会(護摩供養)

 六月十七日(金) 観音経読誦会

 七月十七日(日) 盂蘭盆 大施餓鬼会
 七月三十一日(日) 百観音献灯会 夕方六時より

 八月十七日(水) 観音経読誦会
 九月十七日(土) 秋彼岸 大施餓鬼会
 十月十七日(月) 観音経読誦会
 十一月十七日(木) 境内石仏総供養大護摩供
 十二月十七日(土) 観音経読誦会(納めの百観音法要)

     ※ 月例の行事詳細については裏面をご覧ください

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

  ● 毎月十七日 観音経読誦会(月例法要)
     毎月午後二時より、僧侶方の声明(節の付いたお経)の後、太鼓の音に合わせて妙法蓮華経観音経と般若心経をご一緒にお唱えいたします。法話の後は茶話会をお楽しみください。
     どなたでもご参加いただけます。
     正月、五月、十一月は護摩法要、三月、七月、九月は施餓鬼法要を併せて修行いたします。

  ● 毎月第一日曜日ならびに翌日の月曜日
     午前九時より 写経の会 (小筆と納経料千円をご用意ください)
        一月は第二日曜日の十日と十一日です。

  ● 毎月第二金曜日 午後一時より習字の会
     参加ご希望の方はどうぞお問い合わせください。

  ● 毎月第二土曜日の午前九時より坐禅の会
     呼吸法を中心とした気楽な坐禅です。ゆったりした服装でお越しください。参加料 五百円。