ひとくち伝言 平成28年5月
昨今、様々な「ゆるキャラ」が活躍をしておりますが、その元祖は一体どのキャラクターなのでしょうか。一部では江戸時代の博多の禅僧、仙豪`梵(せんがいぎぼん)の描いた布袋さんこそ元祖ゆるキャラなのではないかという声があります。ええ、ごくごく一部で。
堪忍袋と呼ばれる大きな袋を携えた福の神、布袋さんがニコニコと指を立てています。まるでゴールを決めたサッカー選手のように。絵だけではゆる過ぎて意味がよく分かりませんが、左に「を月様幾ツ 十三七ツ」とあるので、どうやら指の先は月らしい。これは指月の譬(たとえ)といって、真理を説くお釈迦さまの言葉を、月を指し示す指に譬えたものです。言葉は記号であって本質そのものではないのに、ともすると我々はその表面的なものに惑わされてしまう。指の先の月を見ずに、指ばかりを見てしまうというわけです。
柔らかくも奥深く、そして洒落の効いた仙腰a尚の書は当時から大人気となり、多くの人が和尚に書を頼みに来ました。あまりに皆が紙を置いていくので、「うらめしや 我がかくれ家は雪隠か 来る人ごとに紙おいてゆく」と嘆くほど。でも、頼まれれば嫌とは言えず、快く描かれたようです。茶目っ気たっぷりの書を。
例えば、新築の家のお祝いに一首頼まれた時には、「ぐるりっと 家を取り巻く貧乏神」と書いて筆を置き、後から「七福神は外に出られず」と付け足して家主を翻弄したり、円相(悟りを表す○を描いた、禅画の定番)を描いたかと思いきや丸い饅頭で、「これ食うて茶のめ」と茶化したり。言葉や記号に惑わされる我々の見当違いをからかうかのようです。
また、時にはこんな川柳も詠まれました。
「よしあしの 中を流るる 清水かな」
フランスの哲人パスカルは人間を、弱いけれど風に折れない葦に譬えましたが、仙腰a尚はヨシともアシとも読む葦を良し悪しに掛けて、その中を流れる水に人間を譬えました。人間には善意も悪意もあり、世の中は良いことも、残念ながら悪いことも起こる。上っ面ばかり見て良いだの悪いだのと、勝手な判断をしたりされたりもする。それでも、我々は偏ることなく濁ることなく、清らかなのだ。清々しく微笑んでいよう。月を指差してニコニコと微笑む布袋さんを見ていると、そんな仙腰a尚のお心が見えてくるような気がいたします。
草野榮雅 拝
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平成28年 5月〜 7月の行事予定
5月1日・2日 (日・月) 午前9時 写経の会
5月14日 (土) 午前9時 坐禅の会
5月17日 (火) 午後2時 観音経読誦会 並びに護摩供養
6月5日・6日 (日・月) 午前9時 写経の会
6月11日 (土) 午前9時 坐禅の会
6月17日 (金) 午後2時 観音経読誦会
7月3日・4日 (日・月) 午前9時 写経の会
7月17日 (日) 午後2時 盂蘭盆大施餓鬼会
7月31日 (日) 午後6時 献灯会
◇お釈迦樣の誕生日にちなんで行われている花まつりコンサートですが、今回も大勢の方にご支援、ご来場をいただきました。ありがとうございました。
今年は寄付先を事前に定めず、万が一の為の支援金として留保しておく方針だったですが、熊本地震発生が発生したため、急遽日本赤十字熊本地震災害義援金に寄付をいたしました。花まつりコンサート収益金と、募金を合わせ、62,315円をお振り込みいたしましたので、ここにご報告いたします。
◇古代インドでは1月、5月、9月は特に大事な時期として、戒律を守り精進いたしました。この正五九月に因み、5月の17日には護摩法要を修行いたします。どうぞ御参拝くださいませ。