ひとくち伝言 平成28年9月
とあるご縁で「実は仏教の心を歌っていると思う日本の名曲」について考える機会がありました。テレビ朝日の「ぶっちゃけ寺」という番組の企画です。面白いことに、そういう視点で詩を追っていくと多くの曲に仏教的な意味を見つけることが出来るものです。
例えば、「海は死にますか、山は死にますか」と問いかけ、この世のありとあらゆるものに生命を見出だすさだまさしさんの「防人の歌」や、「縦の糸はあなた、横の糸は私」と、織りなされる縁について歌う中島みゆきさんの「糸」はこれでもかというくらい仏教的です。また、石原裕次郎さんの「明日は明日の風が吹く」や、植木等さんの「だまって俺について来い」の「そのうちなんとかなるだろう」という歌詞は、諸行無常、即ち、全てのことが変わって行くことを、それぞれの言葉で諭してくれているかのよう。お寺生まれの永六輔さんが作詞をされた「上を向いて歩こう」は、悲しみを堪えて一人歩くその情景が、お釈迦さまの「犀(さい)の角の如くただ独り歩め(他人に惑わされず、自分の道を歩きなさい。上を向いて伸びる犀の角のように)」という言葉のイメージに重なります。南こうせつさん率いるかぐや姫の「神田川」、「ただ貴方のやさしさが怖かった」という歌詞は「親は子について憂い、牛飼いは牛について憂う(人の憂いは、その拠り所としているものによる)」という苦の本質を見事に突いていると言っていいでしょう。ユーミンこと松任谷由実さんは「やさしさに包まれたなら」の中で、「きっと目にうつる全てのことはメッセージ」と歌いましたが、弘法大師の「眼明らかなれば途に触れて皆宝なり」の言葉の如く、仏さまの視点に立てばそこかしこに智慧の教えが隠れているようです。
それから、「そうそう、そうなんだよ」と共感したり、「あ、この歌は私のための歌だ」と思える歌と出会った時、心は味方を得ます。誰かがこの気持ちを知ってくれていること、誰かが同じ気持ちでいてくれること、それがどれほど心強いことか。傷付いている時には、答えや解決方法を示されるよりも、まず一緒に痛みを感じて、同じ方向を見てくれることが有り難いんですよね。この、苦しみや悲しみを共にし、そっと寄り添うことを、仏教では慈悲と申します。大切なことをやさしい言葉で気付かせてくれるのも、歌の素敵なところですね。
草野榮雅 拝
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平成28年 9月〜 11月の行事予定
9月4日・5日 (日・月) 午前9時 写経の会
9月10日 (土) 午前9時 坐禅の会
9月17日 (土) 午後2時 秋彼岸大施餓鬼会
お塔婆は前もってお電話かFAX、Eメールでお申し込みください。一本三千円です。
10月2日・3日 (日・月) 午前9時 写経の会
10月8日 (土) 午前9時 坐禅の会
10月13日 (木) 第九回 坂東三十三観音 参拝旅行
10月17日 (月) 午後2時 観音経読誦会
11月6日・7日 (日・月) 午前9時 写経の会
11月14日 (土) 午前9時 坐禅の会
11月17日 (木) 午後2時 百観音総供養
◇ 春と秋の二度、昼と夜の長さが同じになる時期をお彼岸と申します。仏教の説く中道、すなわち偏りの無い最良の道を歩めるよう、ほとけ様、ご先祖様にお念じくださいませ。
秋彼岸大施餓鬼会塔婆供養をご希望の方は、事前にお申し込み願います。
◇ 毎年七月最終日曜日に開催の献灯会。少々お天気が心配されましたが、始まってからは雨が降ることなく、無事に賑やかな献灯会となりました。
全部で千百ものお灯明を観音さま方にお供えいただきました。必要経費を除いたお灯明の純益、316,163円を分配し、日本ユニセフ協会、赤十字東日本大震災義援金、熊本地震災害義援金に10万円ずつを寄付させていただき、端数は来年度の献灯会のために繰越しをすることにいたしました。
ご協力いただきました皆さまに、ご報告と御礼を申し上げます。
◇ 第九回坂東三十三観音参拝旅行を10月13日に予定しております。
参加費 九千円 申込み締切り 9月末
参拝予定 二十九番 千葉寺
三十一番 笠森寺
三十二番 清水寺
◇ 10月28日に、私、榮雅が常務理事を仰せつかっております仏教情報センターの日帰り旅行がございます。今回は私が幹事ですので、従兄弟が副住職を務める群馬の高崎白衣観音(慈眼院)、達磨で有名な達磨寺、ラスクがおいしいガトーフェスタハラダの工場見学を企画いたしました。是非この機会にご参加ください。
参加費 八千五百円