ひとくち伝言 平成29年3月

「まずは自由に、伸びたい方向に伸ばさせてあげるのがいいんですよ。全体のバランスを整えるのは後からでいいんです。あんまり最初からあちこち手出しすると、萎縮して小ぢんまり育っちゃうんですよね」
 モミジの枝ぶりについての、植木屋さんの一言です。大観音様の前、六代目尾上菊五郎氏建立の馬頭観音様の後ろにあるモミジを、少し形を整えて恰好良くしたいと思って相談したのですが、まだまだ枝が伸びる時期に枝を切りすぎるのはあまり良くないんだそうです。頑張ってやっと伸ばした枝を他人の都合で切り落とされてしまうと、今度は切られないようにと、だんだん枝を伸ばさなくなってしまうのでしょうね。また、多宝塔の脇の動物供養墓前にクチナシの木を移植した際には、こんな一言が。
「水はやりすぎないように。いつでも水が貰えると思うと根が怠けてしまって、あまり根が深く張らなくなるんです。自分で水を探り当てられる強い根にするために、水やりはほどほどにしてくださいね」
 どちらの言葉も木の生長についての話なのですが、なんだか人間の成長にも通じそうな話です。

 それから、長年お寺のいろいろな大工仕事を引き受けてくださり、引退後は変わった形の木を見つけてきては花瓶置きに加工したり置物にしたりして楽しんでいらっしゃる元大工さんからはこんな一言。
「大工やってた頃は素直でクセの無い木が「良い木」だったんだけどさ、こうやっていろいろ作ってると、今度はクセだらけで独特な木の方が味があって「良い木」に思えるんだから、おかしなもんだよねぇ」
 「良い」とか「悪い」なんて、見方ひとつでコロッと変わってしまうものなのですね。ちなみにその元大工さんの作品は、たまに明治寺でも販売しております。作った当人に「何に使うものなの?」と聞いても、「何だろなぁ。花瓶を置けば花瓶敷きだし鍋を置けば鍋敷きだし……。何だろねぇ」といった具合。全ては見る者、使う者次第の、まことに奥深き木工品です。

 木々や自然の営みは私たちに多くのことを教えてくれています。春を迎えて、その囁きは益々雄弁になってくることでしょう。それらと真摯に向き合い、耳を傾けてきた職人さん方の言葉もまた、金言であります。ゆっくり耳を傾け、味わいたいものです。



草野榮雅 拝

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平成29年 3月〜 5月の行事予定 

 3月5日・6日 (日・月) 午前9時 写経の会
 3月11日 (土) 午前9時 坐禅の会
 3月17日 (金) 午後2時 春彼岸大施餓鬼会
               お塔婆のお申し込みは前もってお電話かFAX、
               Eメールにてお願いいたします。1本三千円です。

 4月2日・3日 (日・月) 午前9時 写経の会

 4月2日 (日) 午後6時 花まつりコンサート

 4月8日 (土) 午前9時 坐禅の会
 4月17日 (月) 午後2時 観音経読誦会(月例法要)
 4月20日 (木) 坂東三十三観音参拝 日帰り旅行
 4月29日 (土・祝日) 午後2時 慈音会総供養

 5月7日・8日 (日・月) 午前9時 写経の会
 5月13日 (土) 午前9時 坐禅の会
 5月17日 (水) 午後2時 観音経読誦会 並びに護摩供養

 5月22日 (月) 坂東三十三観音参拝結願 浅草寺参拝

◇春分の日前後の一週間、昼夜の長さが丁度同じくらいになる期間をお彼岸と申します。
ご先祖様を尊びお塔婆を建立してお戒名を読み上げ、丁重にご供養いたします。ご希望の方は、事前にお申し込みくださいませ。

◇今年の花まつりコンサートは4月2日です。
今回はなんと万葉集の中から選んだ和歌に武久氏が曲をつけ、フォルテピアノの旋律と峯島氏の歌声で日本の心を紡ぎます。
楽器運搬の費用をお手伝いいただけますと大変有り難く存じます。よろしくお願いします。

◇坂東三十三観音の参拝も、いよいよ結願が近づいて参りました。4月20日には三十番の高蔵寺、三十三番の那古寺、それから鋸山の日本寺参拝を計画しております。
 参加費 九千円 ご朱印料 六百円
 申込締切り 3月末日

また、十三番の浅草寺参拝をもって結願といたしますが、浅草寺参拝後、屋形船でランチクルーズを企画しております。こちらは現地(浅草)集合、現地解散といたします。巡拝に ご参加いただけなかった方も、お気軽にご参加 くださいませ。
 参加費 九千円 ご朱印料 三百円
 申込締切り 4月末日

なお、那古寺では三十三観音を巡った証として結願の印と、希望者には結願の証書をいただけます。ご希望の方は浅草寺参拝後、お申し出ください。後日いただいて参ります。