ひとくち伝言 平成29年9月
自分には何人ほどご先祖さまがいるのか、考えてみたことがお有りでしょうか。家督や家業を継いでいれば、その歴代の当主がご先祖さまとなるのでしょうが、ここでは試しに、自分に繋がるすべての人を数えてみましょう。まず両親が2人。その両親である祖父と祖母が全部で4人。さらにその両親の曾祖父、曾祖母が8人。この辺はまだご先祖さまとは呼ばないと思いますが、2+4+8で、すでに14人です。8人の曾祖父母それぞれの両親が16人。その16人にもそれぞれ両親がいるので32人追加。この調子で計算していくと、10代遡ればざっと2千人、20代で2百万人、30代遡れば21億人、40代で2兆人にもなります。1代を仮に平均25年とすれば、40代なんてほんの千年ほど。人類の歴史全体では一体どれほどの人数になることか。もちろん、遡れば遡るほど血縁関係も多くなるので、単純な計算通りには行きませんが、きっと漠然と想像していたよりも大勢だったのではないでしょうか。よく命は大事(だいじ)だという言葉を耳にしますが、自分の命がこれほどの命の連なりの結果だとすると、確かに大事(おおごと)です。
読売新聞が定期的に行っている意識調査に、日本人の宗教観についての調査があります。前回、平成20年の調査によれば、何か宗教を信じているという人は全体の約26%と、かなり低い数字。一方、自分の祖先を敬う気持ちが有るか、という問いにはなんと94%の人が有ると答え、実際に約78%の人が盆や彼岸にお墓参りをしたそうです。平成27年に國學院大学が学生に行った調査でも同様に、信仰を持っていると答えた人は10%と極めて少ないものの、お盆にお墓参りには8割の家庭がお参りしたとのこと。この割合は、同大学の第一回目の調査(平成7年)と比べて、少し増えているくらいです。多くの人が初詣にも行くので特定宗教への信仰という数字には表れませんが、神仏や超自然的存在を過半数の人が肯定していたりと、決して関心が無いわけでは無いようです。
宗教や信仰というと、少し堅苦しい。一つの考え方を唯一絶対とすれば、他の考え方を否定してしまいます。極端に走らず、うまくバランスを取っていろいろな宗教の考え方を受け入れられるのが日本的な宗教観なのかも知れません。その根底には、ヒンドゥー教や儒教、神道の考え方と調和してきた仏教の哲学があるように思います。本当に大事なことは形や言語では顕しきれず、人によってその表現に幅が出るのは当然のこと。その幅が懐の深さとなり、仏教は習合(混ざり合い)をしても本質を失わない柔軟さを保ってきました。普段、宗教を意識することは無くとも、雄大な自然に言葉にできない何かを感じ、心が躓きそうな時には祈り、自分へ命を繋いでくれたご先祖さまのご縁を有り難いと感じる。周りの人が安寧であることを願い、お蔭様と感謝し、日頃の行いを大事に思う。そんな感性の根っこの部分に、仏教的な考え方も確かに息づいています。
草野榮雅 拝
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平成29年9月〜11月の行事予定
9月3日・4日 (日・月) 午前9時 写経の会
9月9日 (土) 午前9時 坐禅の会
9月17日 (日) 午後2時 秋彼岸大施餓鬼会
お塔婆は前もってお電話かFAX、Eメールでお申し込みください。一本三千円です。
10月1日・2日 (日・月) 午前9時 写経の会
10月14日 (土) 午前9時 坐禅の会
10月17日 (火) 午後2時 観音経読誦会
11月5日・6日 (日・月) 午前9時 写経の会
11月11日 (土) 午前9時 坐禅の会
11月17日 (金) 午後2時 百観音総供養
◇ 春と秋の二度、昼と夜の長さが同じになる時期をお彼岸と申します。仏教の説く中道、すなわち偏りの無い最良の道を歩めるよう仏様、ご先祖様にお念じください。
秋彼岸大施餓鬼会塔婆供養をご希望の方は、事前にお申し込み願います。
◇ 毎年七月最終日曜日に開催の献灯会。今年も千灯を超えるお灯明が観音さまにお供えされました。
ガムランの演奏とインドネシアの影絵芝居、野外映画会ではジャングル大帝の第一話がフィルムで上映され、喜んでいただけたことと思います。
お灯明の純益およびご寄付としてお寄せいただきました327,398円を分配し、日本ユニセフ協会、赤十字東日本大震災義援金に10万円ずつ、日赤平成29年7月大雨災害義援金に127,398円を寄付させていただきました。
ご協力いただきました皆さまに、ご報告と御礼を申し上げます。