ひとくち伝言 平成30年11月

 「落ち葉掃きのコツはね、最後に葉っぱを何枚か残しておくんだよ」
 曾祖母、昌悦尼が残した、庭掃除に関するアドバイスです。私は中途半端に几帳面なもので、いざやるとなれば徹底的に、完璧にやりたい性格です。せっかく掃除をしているのですから、一枚の葉っぱも残さず完璧にやってしまいたい!一度、葉っぱを「取り除くもの」と頭にインプットして掃除に没頭していたのに、その「取り除くもの」を敢えて残すのは、なんだかすっきりしません。このアドバイスは昌悦尼の自然観というか、美学のようなものなんじゃないか。その程度に考えておりました。
 しかし、確かに完璧にやり切る事ができたとしても、その達成感や満足はほんの一瞬のもの。風が吹けばハラハラと、新たに葉っぱが落ちてきます。無情なまでに諸行無常。完璧を維持したいという欲求、もはやお掃除煩悩とでも言うべき考えに取り付かれて、掃除の切り上げ時を失い、果ては葉っぱを落とす風に腹を立てる始末。そしてふと、「どうせすぐ無駄になるのだろうな」と、意欲を失うのでありました。昌悦尼のアドバイスはきっと、こんな極端な有様にならないように「完璧にしようとせず、ほどほどを保ちなさい」と教えてくれているのでしょう。

 庭掃除に限らず掃除全般、例えば家の窓ガラスや台所のシンク掃除、車の洗車なども、徹底的にやるとピッカピカになって気持ちがいいものです。けれど、のめり込んで完璧を求め過ぎると、ちょっとの曇りがやたらと気になったり、べたべた手の脂が付くのが許せなくなったり、汚れるのが嫌で使えなくなったり。やっぱり、いい塩梅、ほどほどの頑張り具合というものがあるようです。お釈迦さまが譬えられたように、「楽器の弦は緩んでいたらいい音は出ないけれど、張りすぎても弦が切れてしまうよね」ということなのでしょう。
 効率を考えてみても、たいていの物事は九割くらいまでは目に見えて成果が分かりますが、その九割を十割に高めようとすると、途端に必要な力や負荷は大きくなるもの。目的や状況によって、調度いい加減は違ってきます。
「自分は今、力が入りすぎてないかな?自分や周りに完璧を求めすぎていないかな?」そんな風に、ちょっと自分を顧みる余裕を持っていたいものです。

草野榮雅 拝

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平成30年11月〜平成31年1月の行事予定 

 11月4日・5日 (日・月) 午前9時 写経の会
 11月10日 (土) 午前9時 坐禅の会     
 11月17日 (土) 午後2時 百観音巡り 百観音総供養

 12月2日・3日 (日・月) 午前9時 写経の会
 12月8日 (土) 午前 坐禅の会
 12月17日 (月) 午後 納めの観音経読誦会法要
   
 1月元日 (火) 修正会 午前6時・午後2時に新年祈願護摩
 1月6日・7日 (日・月) 午前9時 写経の会
 1月12日 (土) 午前9時 坐禅の会
 1月17日 (木) 午後2時 初観音法要 (観音経読誦会)

◇ 北海道地震により被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。献灯会の募金のうち、八万円を豪雨災害復興支援としてNPО団体に寄付する予定でしたが、その予定を変更し、新たな募金と併せまして十一万五千円を北海道地震義援金に寄付させていただきました。ここにご報告申し上げます。

◇11月は毎年、境内石仏の総供養として百観音巡りをいたします。本堂で観音経読誦と護摩祈祷を修し、その後、境内 石仏一尊一尊を巡り、参拝していただきます。お賽銭は、観音様とのご縁を願って5円玉百枚(五百円)と両替できるようにご用意いたします。もちろん、ご自身でお賽銭をご用意いただいても結構です。

◇今年は明治寺第二世住職榮龍和上の三十三回忌にあたります。11月の百観音総供養の際に般若心経一巻をお唱えし、供養といたしたく存じます。

◇お正月の元日は日の出に合わせて元朝護摩を修法し、午後2時にも新年の招福を祈願して護摩祈祷を修法いたします。ご希望の方には内陣にお入りいただいて、護摩の火の横で直接添え護摩木をくべて いただきます。また、今年も本尊如意輪観音菩薩の手に お手綱をお繋ぎします。どうぞご参拝 くださいませ。