ひとくち伝言 平成31年1月

中心念善 即言即行 福楽自追 如影随形

                平 成 三 十 一  己 亥  年  正 月

 平成最後の年明けに際し、謹んでご挨拶を申し上げます。

 この平成という元号は、字面を見ると「平らに成る」と読めてしまって、なんだか平均主義のような印象かも知れませんが、実は中国の古典『史記』の「内平外成(内平らかにして外成る)」と、『書経』の「地平天成(地平らかにして天成る)」から取られています。まず国内が平穏になれば国外のことも平穏に成る。人の営みが平和なものになれば、天もまた平和と成るに違いない、そうあって欲しいと願う言葉でありましょう。
 他の元号にも、それぞれ深い意味があります。例えば昭和は『書経』の「百姓昭明 協和万邦」が由来で、あらゆる人々が力を発揮し、国々が協力して平和を作ろうという言葉。大正は『易経』の「大亨以正 天之道也(大いに亨(とほ)りて以て正しきは、天の道なり)」で、道理に適った正しい方法は邪魔が入らない。転じて正しい政治を願った元号でしょう。明治も『易経』の「聖人南面而聴天下 嚮明而治」が語源。人々を導く人は天の中心で動かない北極星を背にして腰を据え、落ち着いてよく世の声を聞けば物事は明るく整っていくという意味。ちなみに、この「聖人は南を向く」という思想は仏教にも伝わっていて、南向きのお寺が多いのはこのためです。

 このように元号は儒教由来の言葉が多いようですが、互いに影響を与え合ってきた仏教にとっても、「内平外成」は大事な考え方です。儒教は国家としてですが、仏教は個人として。
「ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。もしも清らかな心で話したり行ったりするならば、福楽はその人につき従う」とは仏教の『法句経』の言葉。私たちが体験する全ては心によって作られるのだから、自分の心が汚れていれば世界も汚く映り、心が清ければ世界も幸せなものになる。外の世界に文句を言う前に、まずは自分自身を浄めよということです。このことについて弘法大師が絶妙な喩えをしておりまして、「鼻下に糞あれば、香を嗅ぐともまた臭し」とのこと。まぁ、あえて詳しくは解説いたしませんが。

 もうじき平成に代わる新たな世となります。しかし、平成の意味までが過去のものになるわけではありません。自分の心を清く整え、落ち着いて人の話を聞き、道理に適った方法で、皆が協力して世界を良くしていく。これは時代を越えて範とすべき道でありましょう。どうぞ今一度、平成の意味を心に刻み、新たな年、新たな世をお迎えくださいませ。

           草野榮雅 拝

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 平成三十一年 行事ご案内

 一月一日(火) 修 正 会(護摩修行・祈祷)
                午前六時および午後二時頃、本堂にて修行
 一月十七日(木) 初観音大護摩供
 二月三日(日) 節分会 星まつり
             午後二時より法要、豆撒き
 二月十七日(日) 観(かん)音(のん)経(ぎょう)読(どく)誦(じゅ)会(え)(月例法要)
 三月十七日(日) 春彼岸 大施餓鬼会
 四月七日(日) 花まつりコンサート
 四月八日(月) 釈迦降誕(ごうたん)会(え)(花まつり)
 四月十七日(水) 観音経読誦会
 四月二十九日(月・昭和の日) 慈音会法要・多宝塔供養会
 五月十七日(金) 観音経読誦会(護摩供養)
 六月十七日(月) 観音経読誦会
 七月十七日(水) 盂蘭盆 大施餓鬼会
 七月二十八日(日) 百観音献灯会 夕方六時より
 八月十七日(土) 観音経読誦会
 九月十七日(火) 秋彼岸 大施餓鬼会
 十月十七日(木) 観音経読誦会
 十一月十七日(日) 境内石仏総供養大護摩供
 十二月十七日(火) 観音経読誦会(納めの百観音法要)

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●毎月十七日 観音経読誦会(月例法要)
毎月午後二時より、僧侶方の声明(節の付いたお経)の後、太鼓の音に合わせて妙法蓮華経観音経と般若心経をご一緒にお唱えいたします。法話の後は茶話会をお楽しみください。
どなたでもご参加いただけます。
正月、五月、十一月は護摩法要、三月、七月、九月は施餓鬼法要を併せて修行いたします。

●毎月第一日曜日ならびにその翌日の月曜日
午前九時より 写経の会 (小筆と納経料千円をご用意ください)
※二月は節分のため、第二日曜日の十日と十一日に行います。なお、八月はお休みです。

●毎月第二土曜日の午前九時より坐禅の会
呼吸法を中心とした気楽な坐禅です。ゆったりした服装でお越しください。参加料 五百円。八月はお休みです。