ひとくち伝言 令和元年7月

ロックンローラー、内田裕也さんのお別れ会にて、長女の也哉子さんが「Don't Rest In Peace」という言葉を捧げたそうです。Rest In Peaceは欧米におけるお悔やみの常套句で、墓石にも刻まれる「安らかに眠れ」という言葉。つまり、也哉子さんは「安らかになんて眠るなよ」というメッセージを贈ったわけです。そんなのロックンローラーには似合わない、と。でも実は、ロックンローラーだけでなく、仏教でお葬式をした人だって、安らかに眠りはしません。
亡くなった人が行くと言われる極楽浄土とは、一切の苦しみが無く、究極の安楽が有る場所です。煩悩から解き放たれ、安らかな気持ちで阿弥陀仏のお説法を聞き、そして悟りを開いて仏に成る。極楽浄土は、言わば成仏のための修行の場所。余計なもの、不快なものは全て遠ざけて心行くまで励む、受験生の特別講習のようなものかも知れません。そんなことを聞くと、あまり行きたくなくなってしまうかも知れませんが……。そして成仏したならば、その方にとってはこの現世や浄土の区別など無くなり、仏として世のため人のため、自在に活動をする存在になるわけです。眠っている暇なんてありません。だから、亡くなった方に対しては「安らかにお眠りください」ではなくて、「どうぞお見守りください」と願う方がきっと良い。亡くなられた方も、その方が嬉しいはずです。

 私の父が入院した時、一番傷ついたのが、お見舞いに来てくださった方の「こっちは大丈夫だから、心配しないでゆっくり休んで」という言葉だったそうです。もちろん、いろいろなお役目に気を揉むことなく、ゆっくり静養して欲しいという、いたわりの言葉なのは分かる。分かるんだけれども、それでも、自分という存在がいなくても大丈夫、とは言われたくなかった。「あなたがいなくて大変だよ」「早く戻って活躍してくれよ。待ってるぞ」と、そう言って欲しかったのでしょう。
 そんなわけで、今も私は父に手を合わせる時、「あなたがいなくて、とても大変です」と愚痴ります。「私の力の至らぬ時は、どうぞ助けてください」と頼ります。そういう気持ちを素直に伝えることも、供養だと思うから。そして、「どうぞ安らかに、存分にご活躍ください」と祈るのであります。

草野榮雅 拝

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令和元年 7月〜9月の行事予定

 7月7日・8日 (日・月) 午前9時 写経の会
 7月9日〜16日頃 お盆 お棚経
 7月17日 (水) 午後2時 盂蘭盆大施餓鬼会
   お塔婆は前もってお電話かFAX、Eメールでお申し込みください。一本三千円です。

 7月28日 (日) 午後6時 献灯会

 8月17日 (土) 午後2時 観音経読誦会

 9月1日・2日 (日・月) 午前9時 写経の会
 9月14日 (土) 午前9時 坐禅の会
 9月17日 (火) 午後2時 秋彼岸大施餓鬼会

◇ お盆の棚経は、ご先祖様をお迎えし、ご供養する法事でございます。ご希望の方は、日程を調整いたしますので、ご連絡くださいませ。日中は時間が取れない方は、夕方以降でも結構です。
 また、ご自宅でのご供養が難しい方は明治寺へお越しいただいてお盆のご供養をなさるのもよろしいかと存じます。

◇ お盆の関係で、坐禅の会は7月と8月、写経の会は8月をお休みといたします。どうぞよろしくお願いいたします。

◇ 献灯会は、子どもたちの未来を少しでも明るくするため、一つ五百円のお灯明を灯し、その収益金を寄付させていただく行事です。
どうぞ祈りを共にしていただけましたなら幸いです。
 当日はお越しになれない方も、代わりにお灯明をお供えいたします。

◇ 来る11月6日(水)に、仏教情報センターの企画で、神奈川県伊勢原市の「日向薬師」に日帰りの参拝旅行に参ります。関東指折りの古刹で、日本三薬師の一つです。その帰りには曹洞宗の寺院、石雲寺にて坐禅の体験もできます。どうぞご参加くださいませ。