ひとくち伝言 令和2年3月

 小さな子が、ちゃんと手を洗うようにするにはどうしたら良いでしょう。これには、親も一緒に手を洗ったり、かわいい石鹸を使ったり、洗面所への競争をしたり、歌を歌いながら楽しく洗ったりと、いろいろなアイデアがあるようです。中には大人よりもしっかり手洗いをする子もいて、かえって反省させられることもありますね。
 大人はウイルスや菌のことを知っていますし、それが体調を悪くすることもある程度、体験して学習済みですので、衛生を保ち、清潔にするために手を洗います。だけど小さな子はまだその目的意識が無い上に、大人とは違う彼らなりの考えがありますから、こちらの理屈でただ「手を洗いなさい」と言ってもなかなか伝わりません。それより楽しく工夫して、手を洗うこと自体が目的になるよう促した方が、うまくいくことが多いそうです。ついつい、自分と同じ理屈を相手も共有できるものと思ってしまいますが、なるほど、それは一方的な押し付けなのかも知れないなと気付かされました。

 妙法蓮華経の観音経には、「観音さまは、子どもの姿で導くべき人には子どもの姿を借りて現れる」と説かれています。つまり、救う相手に合わせて一番ふさわしい姿で現れるということ。それは仏さまの姿だったり、お坊さんの姿だったり、ご婦人の姿だったり、神さま(天)や鬼(夜叉)だったりします。時にやさしく、時に厳しく、時に身近な姿で、時に畏ろしい姿で。全部で三十三の多彩な例が挙げられており、あらゆる姿に変身して観音さまは人を救う。いろいろなご縁の中に、観音さまの慈悲の働きと導きがあるということだそうです。
 そしてもう一つ大事な点は、相手が納得できるよう、相手の性質や背景に合わせた形でなければ、どんなに正しいこともなかなか伝わらないということ。子どもには子どもへの伝え方があり、後輩には後輩への、目上の方には目上の方への、お年寄りにはお年寄りへの、傷ついた人には傷ついた人への、外国の人には外国の人への伝え方があることでしょう。それは決して媚びるとか差別ということではなく、相手が分からないことを押し付けてお互いにストレスを感じるよりも、うまく物事が運ぶ手立てを考える方が建設的だよ、ということです。方便という言葉がありますが、本来の意味は、この手立てをうまく使う智慧のことを申します。


草野榮雅 拝

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令和2年3月〜5月の行事予定

 3月1日・2日 (日・月) 午前9時 写経の会
 3月14日 (土) 午前9時 坐禅の会
 3月17日 (火) 午後2時 春彼岸大施餓鬼会
              お塔婆のお申し込みは前もってお電話かFAX、
               Eメールにてお願いいたします。1本三千円です。

 4月5日・6日 (日・月) 午前9時 写経の会
 4月5日 (日) 午後6時 花まつりコンサート
 4月8日 (日) 花まつり(降誕会)
 4月11日 (土) 午前9時 坐禅の会
 4月17日 (金) 午後2時 観音経読誦会(月例法要)
 4月29日 (水・祝日) 午後2時 慈音会総供養

 5月3日・4日 (日・月) 午前9時 写経の会
 5月9日 (土) 午前9時 坐禅の会
 5月17日 (日) 午後2時 観音経読誦会 並びに護摩供養


◇春分の日前後の一週間、昼夜の長さが丁度同じくらいになる期間がお彼岸です。
その少し前の17日にはお施餓鬼の法要を行い、ご先祖様や亡くなった方々をご供養いたします。
お塔婆をご希望の方は、事前にお申し込みくださいませ。

お施餓鬼は、ご参拝の有無に関わらずお勤めいたします。
アルコール消毒液等の準備はいたしますが、体調の優れない方、ご不安な方は、各自にてご判断くださいませ。

◇花まつりコンサートは、4月5日を予定しております。
しかしながら新型肺炎の影響も考えられますので、状況の推移を見つつ、判断をして参ります。
中止の可能性も考えまして、チケットは全て予約方式とし、当日お支払いとさせていただきます。


◇百観音明治寺のLINEアカウントを作りました。どのような活用ができるか、まだ手探りの状態ですが、よろしければご登録くださいませ。