ひとくち伝言 令和2年9月
このコロナ禍で外出がままならず、掃除に励んだ方も多いことと思います。私も普段はあまり掃除しない所を整理して、懐かしい思い出の品や探していた本を発掘できました。あと、本に挟んで忘れていた二千円札。なかなか嬉しい。背表紙は毎日のように見ていたのに、全く気付けないまま生活していたわけです。あー、捨てないで良かった。
インドに、これとちょっとだけ似た話があります。
あるところに金持ちの長者とその親友がおりました。親友の方は貧乏でしたが、二人は尊敬し合える良い関係だったそうです。ある日、久しぶりに長者の家を親友が訪ねてきました。
「よく来てくれた。さぁ、酒でも飲みながらゆっくり話そうじゃないか」
積もる話にお酒も進み、やがて親友は酔い潰れて寝てしまいました。
翌朝、長者は朝早くから遠出の予定がありましたので、寝たままの親友を残して出ることにします。ただ、親友の生活が心配だったものですから、困った時にはこれを売るようにと、親友の上着の裏に宝石を隠しておきました。少しして親友も目を覚ましましたが、宝石には全く気付かず、そのまま自分の家へと帰っていきました。
それから幾年かが過ぎて、また久しぶりに二人は再会したのですが、親友を見て長者は驚きました。前よりも一層、貧乏だったからです。
「君、どうしたんだ!あの宝石は売らなかったのか?」
「宝石?なんのことだい?」
「ちょっと上着を見せてみろ!おい、まだちゃんとあるじゃないか!」
なんと親友は上着に隠された宝石に全く気付かないまま、ずっと苦しい生活をしていたのでした。長者と再会したことでようやく宝石に気付けた親友はその後、その宝石のお陰で幸せになったとのことです。
これは『妙法蓮華経』に説かれる「衣裏繋珠(えりけいじゅ)」というお話。私たちはすでに素晴らしい宝を持っているのに、あまりに身近過ぎてそれに気付けないという喩え話です。
このコロナ禍で、普段の生活がガラッと変わってしまいました。これは大変なことではありますが、もしかしたらそのお陰で、今までの生活では当たり前過ぎて見過ごしていたことに気付くこともあるかも知れません。二千円札どころじゃない、素敵な宝が見つかるかも。こんな状況だからこそ、様々な事を見返す機会としていただきたく存じます。
草野榮雅 拝
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令和2年9月〜11月の行事予定
9月6日・7日 (日・月) 午前9時 写経の会
9月12日 (土) 午前9時 坐禅の会
9月17日 (木) 午後2時 秋彼岸大施餓鬼会
お塔婆は前もってお電話かFAX、Eメールでお申し込みください。一本三千円です。
10月4日・5日 (日・月) 午前9時 写経の会
10月10日 (土) 午前9時 坐禅の会
10月17日 (土) 午後2時 観音経読誦会
11月1日・2日 (日・月) 午前9時 写経の会
11月14日 (土) 午前9時 坐禅の会
11月17日 (火) 午後2時 境内石仏総供養
◇ 今年の献灯会は、直前にコロナ感染が拡大したため、ご参拝はご遠慮いただき、インターネットのみで公開いたしました。
ホームページや掲示板ではお知らせしたものの、十分な周知が出来ず、足をお運びくださった方には大変申し訳ございませんでした。
お灯明料は振込やキャッシュレス決済でもお預かりし、代理でお灯明をお供えさせていただきました。
合計で238,750円をお寄せいただき、令和二年七月豪雨の義捐金に106,350円を、児童養護施設である赤十字子供の家に132,000円を寄付いたしましたので、ここにご報告と感謝を申し上げます。
なお、今年は経費を寺で負担し、全額を寄付させていただきました。
◇ 秋のお彼岸の供養として大施餓鬼会を修し、塔婆をお建てしております。
なかなかお墓参りできなかったり、お葬式に行くことができなかった方のために、塔婆を立ててご供養なさるのもよろしいかと存じます。
俗名でも結構です。
ご希望の方は、前もってお申込みくださいませ。
◇ 各行事は消毒などの感染対策をして行いますが、各自のご判断にてご参加ください。
◇ 百観音明治寺フェイスブックページ
https://www.facebook.com/meijidera/
◇ ライン登録用アドレス
https://lin.ee/cjgD55g