ひとくち伝言 令和2年11月
十一面観音様がもしマスクをするとしたら、大変だろうなぁ。なにせ、十一のお顔があるわけですから、毎日、11枚ものマスクを用意しないといけません。ああ、顔が一つで良かった。
そもそも何故、観音様が十一の顔を持つようになったのか。チベットにはこんな話が伝わっているそうです。
ある時、観音様は「全ての命を苦しみから救いたい。この願いを確かなものとするために、誓いを立てよう」と考え、阿弥陀如来様のもとへと参りました。阿弥陀様は、観音様の覚悟を問います。
「誓いを立てるならば、それを途中で諦めることは許されませんよ」
「はい。もしそのようなことになった時には、この頭が砕け散っても構いません」
こうして観音様は誓いを立て、皆を救うことに尽力いたしました。
観音様を念ずる声があればあらゆるところに現れて、火に囲まれる人がいればその火を鎮め、海に溺れる人がいれば波を穏やかにし、悪人に襲われる人がいればその悪人に慈悲の心を起こさせ、不当に囚われる人がいれば解き放ちました。しかし、それでもなお苦しむ人は後を絶ちません。観音様の心にふと、迷いの心が起こります。
「全てを苦から救うなど、不可能なのかも知れない……」
その瞬間、バーンと観音様の頭が弾け、粉々に砕け散ってしまいました。心の中のほんの少しの迷いも許さぬほど、観音様が立てた誓いは重いものだったのです。
阿弥陀様は悲しまれました。
「菩薩だとて時には迷うこともあるでしょうに。自分が許せなかったのですね。ならば、私が許しましょう」と、観音様の砕け散った頭を拾い集め、繋ぎ合わせました。繋ぎ合わされた頭の欠片はそれぞれが頭となり、十の頭となりました。そのお顔は、優しいお顔、叱るお顔、励ますお顔、笑い顔をしております。優しさの故に、時には怒ろう。手を貸すばかりでなく、時には見守り励まそう。思い通りにならないことを、時には笑い飛ばそう。あらゆる方向に目を配るお顔にはそれぞれに、観音様の慈悲のお心が表されています。
これらのお顔の内、笑い顔は後頭部にあるために光背で見えないことが多いのですが、実は歯を見せてニカッと笑うなかなか強烈な笑顔です。くよくよする小さな自分を笑い飛ばしてくれるような豪快さがあります。真似をしてニカッと笑ってみると、妙にすっきりしますよ。思うように行かず苦しい時、心の向きを変えてくれるのは、そんな笑顔なのかも知れません。
草野榮雅 拝
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令和2年9月〜11月の行事予定
11月1日・2日 (日・月) 午前9時 写経の会
11月14日 (土) 午前9時 坐禅の会
11月17日 (火) 午後2時 境内石仏総供養
12月6日・7日 (日・月) 午前9時 写経の会
12月12日 (土) 午前9時 坐禅の会
12月17日 (木) 午後2時 観音経読誦会
1月9日 (土) 午前9時 坐禅の会
1月10日・11日 (日・月) 午前9時 写経の会
1月17日 (日) 午後2時 観音経読誦会
◇ 11月の観音経読誦会では毎年境内の石仏諸尊の総供養として、境内を巡拝しており、今年も感染予防に配慮した上で行う予定です。
現在、寺での行事は必ずマスク着用と手の消毒をしていただいております。ご自身を守り、周りの人を不安にさせないために、どうぞご協力くださいませ。
◇ 元日は日の出に合わせて元朝護摩を修法し、午後2時に招福を祈願して護摩祈祷を修法いたします。
ご希望の方には内陣にお入りいただいて、護摩の火の横で直接添え護摩木をくべていただきます。
今年はお手綱参拝(本尊の手に繋いだ紐を握って祈願のお参り)は、行いません。どうぞご容赦ください。
◇ 来年の節分は2月2日となります。
節分とは季節を分ける日であり、立春の前日を意味します(本来は季節毎に節分がありますが)。立春や春分、夏至、大寒といった二十四節気は、太陽と地球の位置関係によって決まりますので、暦とは多少のずれが起こります。
撒く方、拾う方の双方とも密にならないよう、対策を立てて行います。例年通りとは参りませんが、どうぞ疫病退散と招福を共にお祈りいただけましたら幸いです。
◇ 百観音明治寺フェイスブックページ
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◇ ライン登録用アドレス
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