ひとくち伝言 令和4年11月
お恥ずかしい話ですが最近、夜の境内の暗さが恐ろしくてたまりません。
というのも、この夏の電気不足以来、区が管理している公園の街灯が消えておりまして、門を閉める午後六時頃にはもう真っ暗。夏のうちはまだ日が長くて良かったのですが、秋も深まり、あっという間に暗くなるようになると、人っ子一人いなくなります。夜の帳の降りた静かな境内。嫌だなーと思いながら暗闇の中、そろりそろりと歩いておりますと、足の裏にぐにゃりという感触。咄嗟に足を引くと、その引いた先でもぐにゃり。恐る恐る足を上げて踏んだものを確認すると、そこには無残に潰れた……ギンナン。真っ暗闇のイチョウの木の下は、危険と臭気に満ちているのであります。
電灯のついた室内から出ると、目が慣れていないので実際以上に暗く見えます。懐中電灯でも持って出れば良いのでしょうが、少し前までは当たり前のように街灯の光があったものですから、つい忘れてしまう。しかしながら身体の方は賢いもので、少し待っていればちゃんと目が慣れてきます。暗順応というのだそうです。目の虹彩が縮んで黒目部分、瞳孔が大きくなり、たくさんの光を取り込めるように調整するのですが、同時に目の中で暗闇用の色素が合成されて暗視モードに切り替わるのだとか。ちょっと前が明るかったからといって、暗くなっても目はそのまま、なんてことはありません。
このように、身体は常に「今」の状況に順応しようとします。暑さ寒さに対応したり、水分や体温を調整したり、筋肉量を使う分だけにしたり。その点、頭の方はどうも切り替えが遅いのかも知れませんね。「ついこの前まで暑かったのに」とか、「前の方が便利だったのに」とか、「昔は良かったのに」とか。いろいろぼやいてしまいます。
仏教の根本的な姿勢に「正念」という教えがあります。この今に心と書く「念」は、古代インドの言葉で「心に留めること」「気付く」という語の訳。正念は今現在の自分と周りの状況に正しく気付いている状態を保つことを意味します。
世界も自分も、常に変わり続けています。状況が変わっているのに前の状況にとらわれていては、暗闇で順応しないのと一緒です。夜になっても昼の目のままでは、ただただ暗さを感じるだけでしょう。身体能力にしても生活環境にしても、「今」の状況に正しく気付き、受け止めることで、広がる世界があります。
草野榮雅 拝
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令和4年11月~の行事予定
11月6日・7日 (日・月) 午前9時 写経の会
11月17日 (木) 午後2時 境内石仏総供養(境内百観音参拝)
12月4日・5日 (日・月) 午前9時 写経の会
12月17日 (土) 午後2時 納めの観音経読誦会法要
令和4年
1月元日 (日) 修正会 午前6時・午後2時に新年祈願護摩
1月8日・9日 (日・月) 午前9時 写経の会
1月17日 (火) 午後2時 初観音法要
2月3日 (金) 節分祭
◇ 11月の観音経読誦会では毎年境内の石仏諸尊の総供養の為、境内を巡拝しております。
本堂で観音経読誦の後、外の観音様を巡ります。
ご希望の方にはお賽銭として、五円玉を百枚一組として両替いたします。
一枚ずつ観音様にお供えすることで、ご縁をお結びくださいませ。
◇ 坐禅の会を再開いたしました。
諸事情により第〇土曜日と決められませんので、都度ご連絡をする形となります。
ご参加希望の方はお問合せフォームから坐禅参加希望とご連絡いただくか、LINEにご登録ください。
予定をお送りしますので、ご都合の良い時にご参加ください。
LINE アカウント
百観音坐禅の会 @040haupf
◇ 元日は日の出に合わせて元朝護摩を修法し、午後2時に招福を祈願して護摩祈祷を修法いたします。
午後の会は、ご希望の方は内陣にお上がりいただき、護摩の火の横で直接添え護摩木をくべていただきます。
◇ 百観音明治寺フェイスブックページ
https://www.facebook.com/meijidera/