ひとくち伝言 令和5年7月

 ある男性が山歩き中に足を滑らせ、崖下に落ちてしまったそうです。身動きが取れず、このまま死んでしまうかも知れない。そう覚悟した時、急に心の底から、観音さまへの想いが沸き起こって来た。彼は必死で手を合わせ、南無観世音と念じました。すると不思議なことに、身体が光に包まれたように温かくなって心が落ち着き、安らかな気持ちになったのです。その後、彼は奇跡的に助かり、以後は熱心に信心するようになりました。仏教は、心を落ち着けて自分自身と真摯に向き合うことこそ幸せへの道だと説きます。その教えが、彼の命を救ったのでしょう。

 さて、いかがでしょうか。この話は、最近話題の人工知能(AI)、ChatGPTに「法話を作って」と入力して作らせたものです。AIの話と聞いて「なあんだ」と思った方もいらっしゃるでしょう。改めて読み返すと、印象も少し変わるかも知れません。
 よく「誰が言ったか」と「何を言ったか」のどちらが重要か、という問題を耳にします。偉い人だとか嫌いな人だとか、そういう権威や偏見に惑わされず内容を重視したいところですが、これが難しい。同じ言葉でも「誰が言ったか」でその意味や重みが変わります。どんなに正しい内容も、話し手次第では素直に聞けません。専門家と素人では経験や知識への信頼が違いますし、不道徳な人が道理を説いたところで「お前が言うな」となるでしょう。助言や励ましの言葉も、友人と他人では気持ちの伝わり方が違います。
 古代ギリシャの哲学者、アリストテレスは、人を説得するには論理(ロゴス)だけでなく、感情(パトス)と徳(エトス)が重要だと主張しました。聞き手の中に話し手への共感や信頼が無ければ、どんな内容も伝わりません。結局は、「誰が」と「何を」の両方が大事だということなのでしょう。観音さまが仏さまの姿だけではなく、時にはご婦人や子どもの姿を借りて説法をなさるのも、聞き手と話し手との関係性を重んじるからです。もし自分の話を聞いて欲しければ、内容だけでなく信頼関係にも気をつけなければいけないということですね。逆に話を聞く時には、権威と信頼を混同しないようにしないといけません。
 そのうちAIも信用はできるようになるでしょうが、果たして信頼はできるでしょうか。しかしながら、AIが紡いだ言葉であっても、その言葉との御縁には、仏さまのお導きが働いているやも知れません。

草野榮雅 拝

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令和5年7月~9月の行事予定

 7月2日・3日 (日・月) 午前9時 写経の会
 7月10日頃~16日頃 お盆 お棚経期間
 7月17日 (月) 午後2時 盂蘭盆大施餓鬼会
   お塔婆は前もってお電話かFAX、Eメールでお申し込みください。一基三千円です。

 7月22日 (土) 午前9時 坐禅の会
 7月30日 (日) 午後6時 献灯会

 8月17日 (木) 午後2時 観音経読誦会
    ※8月は写経の会、坐禅の会はお休みです

 9月3日・4日 (日・月) 午前9時 写経の会
 9月17日 (日) 午後2時 秋彼岸大施餓鬼会

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◇7月13~15日の前後はお盆の期間として、ご希望の方のお宅にお伺いしてご供養をいたします。
ご家族がお亡くなりになられてから初めてのお盆を新盆と言いますが、新盆だけではなく、毎年のご供養も大切な事と存じます。
もしご自宅でお集まりになるのが難しい場合は、明治寺本堂にお越しいただいてご供養を承ります。
日程を調整いたしますので、どうぞご連絡くださいませ。

8月が良い方は、8月に伺います。どうぞご相談ください。

◇ 今年の献灯会こそ、コロナ禍前の様に賑やかに行います。
ガムランの演奏や屋台などを予定しておりますので、どうぞ夏の夕べをお楽しみください。
お灯明をお供え頂きまして、ご自身の幸せや身近な方の安らぎ、そして苦難の中にある方々の為にお祈りいただきたく存じます。

◇ 坐禅の会のご参加は、事前にお申し込みをしていただいております。参加希望の方はメール、ライン、電話等でお知らせください。
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