ひとくち伝言 令和5年9月

 あなたが普段使っているお箸の長さはどれくらいでしょうか。一応、目安というものがあり、一咫(ひとあた)半の長さが良いそうですよ。親指と人差し指を直角に広げた指先の長さが一咫なので、その1.5倍です。お箸は長すぎても短すぎても使い難いですよね。

 お箸について、こんな話があります。ある男が、地獄の様子を見に行くことになりました。地獄ではちょうど食事の時間で、亡者が食卓に群がっています。食卓の上にはご馳走。随分と親切なことだと思ったら、亡者たちの持っている箸がどれも異様に長い。みんな三尺三寸(約1メートル)もある長い箸を持たされているのです。箸が長過ぎて、ご馳走を摘まんでも口に入れることができません。空腹な亡者たちは気が狂わんばかりに憤り、邪魔ばかりしあっていたそうです。ご馳走を目の前にして、食べられそうで食べられない。底意地が悪いというか、残酷です。
 一方、極楽の方はどうかというと、同じようにご馳走が並んでいて、同じようにみんな長い箸を持っていた。しかし極楽の住人たちは笑顔です。男は不思議に思って様子を見ていると、彼らは長い箸で摘まんだご馳走を他の人に食べさせてあげていました。食べさせてもらった人はお返しに、自分も相手に食べさせてあげます。そうやって、お互い順番に施し合うので、みんな幸せに暮らしていたということです。
 地獄の亡者たちは箸を短く持つとか、もう手掴みで食べればいいんじゃないかな、なんて考えが頭を過ぎりますが、まぁ、それは野暮というもの。興味深いのは、地獄と極楽の状況自体は同じということですね。違うのは、そこにいる人たちの振る舞いです。

 自分の利益しか考えず、周りが上手くいきそうになったら妬んで足を引っ張り合う。これは現実でも、あちらこちらで起こっています。地獄は遠い世界の話ではなく、ふと気付けば地獄に居る、なんてこともあるかも知れません。反対に、お互いに思いやりを持ち、互恵的な関係を築くことが出来たその瞬間、私たちは極楽に居ます。
 現世ではどうしたって協力し合えない関係もあり、そういう時はあまり関わらないようにするしかありませんが、せめて身近な人たちとは一緒に極楽に居たいものです。そのためには、まず自分から慈しみの心を起こすこと。待っているだけでは駄目です。親切を受けて返さない人も、段々相手にされなくなります。挨拶と一緒ですね。周りに対してどう接するか。それが、自分に返ってくるというわけです。

草野榮雅 拝

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令和5年9月~11月の行事予定

 9月3日・4日 (日・月) 午前9時 写経の会
 9月17日 (日) 午後2時 秋彼岸大施餓鬼会
   お塔婆は前もってお電話かFAX、メール等でお申し込みください。一基三千円です。
 9月30日 (土) 午前9時 坐禅の会(要申込)

 10月1日・2日 (日・月) 午前9時 写経の会
 10月17日 (火) 午後2時 観音経読誦会

 11月5日・6日 (日・月) 午前9時 写経の会
 11月17日 (金) 午後2時 境内石仏総供養

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◇ 今年の献灯会はガムランの演奏や野外映画、出店等、久しぶりに賑やかに開催することができました。収益より、10万円を日本赤十字社の「大雨災害義援金」に、10万円を一般社団法人、メッターの子育て支援事業に寄付いたしました。このメッターは「慈しみ」を意味し、子どもに関する問題に向き合うべく、様々な宗派の僧侶が協力して運営している団体です。

◇ 秋彼岸大施餓鬼会にて塔婆供養を
ご希望の方は、事前にお申込みくださいませ。お申込み料は当日でも結構です。




◇ 坐禅の会のご参加は、事前にお申し込みをしていただいております。参加希望の方はメール、ライン、電話等でお知らせください。
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         百観音坐禅の会 @040haupf
          

◇ 百観音明治寺フェイスブックページ
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