百観音境内は、新宿からほど近い立地ながら山鳩や鴬の声も聞こえてくる、都会の奥庭のようなところです。木立の中に立ち並ぶ百八十余体の観音様に見守られながら、皆が憩い、子どもたちも無邪気に遊ぶ落ち着いた雰囲気の中に、そっと溶け込むように、多宝塔がたたずんでいます。
お墓不足の不安に伴い、郊外には多くの墓地が造られました。ところが、元気な頃には苦にならなかった距離が、実際にご両親や伴侶のお骨をお納めする年になると、大変な道のりになってしまうこともあるようです。身体が思うように動かず、なかなかお参りできないという声や、購入当時は閑静な場所だったのに、開発されて騒がしい雰囲気となってしまったという声をよく耳にいたします。また、せっかく墓域を購入しても、継承者がいないために整理され、塚や集合墓に合祀されてしまうこともございます。
そうした事情もあり、近年は散骨や樹木葬が注目されるようになって参りました。お骨を自然の中にお還しし、新たな命の循環を祈ることは、実に意義深いことと存じます。しかしながら、実際に散骨をなさったご遺族の中には、手を合わせて故人を偲ぶ場所が無く、心細い思いをされている方も少なくありません。また、樹木葬も、五十年後、百年後もちゃんと樹が維持されるのかどうか、不安が残ります。
現代は様々なお墓の選択肢がありますが、それぞれの長所と短所を慎重に見定める必要があります。
百観音多宝塔は、それぞれの埋葬形態の長所を取り入れて建立されました。日本の伝統的なお墓の安心感と、やがては土に還り、境内の木々と共に守られていく平穏。後継者のいらっしゃらない方にも、お子さんやお孫さんの代に負担をかけたくない方にも、ご安心いただけることと存じます。また、遺言に添ってお骨の一部を散骨や手元供養をし、残りは多宝塔にお納めして供養の拠り所となさる方や、お参りしやすいように先祖代々のお墓をお引越しなさる方もいらっしゃいます。
境内に堂々と立つ多宝塔は、集合墓や合祀墓という言葉からイメージされるような寂しさなどは微塵も無く、明るい安らぎをお感じいただけることでしょう。
永代供養納骨堂「百観音多宝塔」に納骨をなさる方々の集まりを、従来の檀家制度と区別するために「慈音会」と名付けました。多宝塔への納骨を希望される方は、この慈音会にご入会いただくことになります。
ご遺骨は三十三年間を目安として塔内に安置され、その後、塔内中央の地下収納室にお納めして引き続きご供養いたします(乙会員はすぐに地下へ納骨)。故人のお名前、お戒名等は多宝塔墓誌、寺の過去帖に記載され、普段にお経が供養されます。
毎年四月二十九日(旧 みどりの日)の慈音会総供養をはじめ、明治寺では様々な行事を行っております。寺とのご縁を深めていただき、馴染みの場所に安らいでいただけましたら幸いに存じます。
入会前の宗教、宗派については不問です。入会の後は明治寺が真言宗の作法に則り、丁重にご供養いたします。
パンフレットを用意しておりますので、どうぞお気軽にお問合せください。
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